俺の隣には幼なじみの将太という人物がいつもいた。
小さい頃から一緒にいるわけだから、将太の事なら何でも知っているつもりだ。しかし、将太の事に関して一度も聞いたことの無いことがある。
それは彼女について、だ。
いるかどうかも、将太は俺に話してくれた事がないのだ。
まぁ俺自身がそういった色恋に関する話題が皆無なので、将太といてもその話題になりにくいのは確かだった。しかし、やっぱり気になる。
将太は顔がいいのだから、その様な話題は腐るほどもっているだろう。

だから俺は聞くことにした。

何時ものように俺の部屋でマンガを読む将太に、俺は意を決して口を開く。



「ねえ将太」

「んー?」

「将太ってさ……その、か、彼女とか…いるの?」

「…はぁ?」



マンガから目を離した将太が、心底嫌そうな顔をした。イケメンに睨まれるのは予想以上に恐怖だ。
俺は取り繕うように慌てて口を開いた。



「だ、って。将太俺に彼女の事とか教えてくれないじゃん」

「あ?んなもんいねぇから言わねーんだよ」

「え?嘘つけ。絶対いるよ」



根拠は無いが、将太程の顔面があれば女は面白い位言い寄って来るだろう。
俺が言えば将太は呆れたように顔をしかめた。



「なんでそう思うんだよ」

「だって将太イケメンじゃん」



イケメンに彼女が出来るのは自然の摂理だと俺は思っている。
そんな俺を知ってか知らずか将太は乾いた笑みを浮かべた。



「イケメンとか関係ねーよ。いないもんはいない」

「えー…じゃあ好きな人とかは?」

「なんでそんな事聞くんだよ…」



将太は少し照れてるような顔をして口を尖らせた。
初々しい反応に俺は確信をつく。



「あ、いるんだ!誰だれ?あ、1組のゆみちゃんとか?よく話してんじゃん」

「あれはちげーよ」



じゃあ誰だ?と、首を傾げる。将太は呆れたような目で俺を見ていた。気になるものはしょうがないだろ。



「てか、お前はどうなんだよ」

「俺?」



まさか逆に聞かれるとは思っていなかったので、俺は将太を見やった。やけに真剣な目をした将太が俺を見つめる。違和感を覚えたが、俺は口を開いた。



「好きな人はいないかな。でも三組の飯田さんがかわいいと思う」

「飯田?」



将太が怪訝そうな顔で聞き返すから、俺は頷いた。「ふーん」とやけに不機嫌そうに振る舞う将太が不思議でたまらない。
そしてふと考えがよぎった。まさか。将太が好きな人って…。



「まさか…将太…飯田さんが好きなの…!?」

「んなわけねーだろバカ!……今日は帰る!」



ぷりぷり怒って将太は部屋から出ていった。
なんだ、変な奴。結局誰が好きなんだよ。



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幼なじみって萌えを感じます








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