「なぁなんで遅くなった?誰かと会ってたのか?…俺を捨てる気かよ…」



鼻をすんすん鳴らしながら俺の腹に頭をぐりぐり押し付けてくるこいつは実の弟だ。まぁ、俺とは全く似てなくて、正直こいつのがカッコいいけど。
くすんできた金髪の頭を撫でてやっても、弟は泣き止みそうもない。
俺の方が学校から帰ってくるのが遅いといつもこれだ。俺はため息を飲み込んで言った。



「今日は日直だったんだ。日誌書いてたら遅くなったの」

「ほんと…?」



本当、と頷けば、弟はにへらと笑う。その顔を見ると昔の可愛らしかった弟が頭をよぎった。

弟は今も昔も可愛らしい弟だ。まぁ、今じゃ世間的にはカッコいいだが。それでも、俺にとったらいつまでも可愛らしい弟なのだ。
だからなのか、ついつい甘やかしてしまう。
俺のそんな態度のせいで、弟は俺を縛るようになった。誰かと遊ぶのはダメだし、喋るのだって、そのうちダメになってもおかしくない。
こんなのは可笑しいとわかっているのに、俺は結局弟に甘くなってしまうのだ。



「アニキはずっとずっと俺といればいいんだよ?だって、兄貴は、兄貴で、俺は弟なんだから。一緒に居ない方がおかしいんだよ?わかるよね?兄貴なら」

「…そうだな」



毎日言われ続ける言葉に、俺は小さく頷いた。いつかは兄離れをするだろう、と信じて疑わずに。



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兄離れなんてもちろんしませんでした。








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