俺の手を強く握ったまま先生はひたすら愛を囁く。
もう慣れてしまった俺は、それを只聞き流した。



「なぁ久遠、お前の事が先生大好きなんだ。俺、お前が同じ気持ちだって知ったとき凄く嬉しかった」



そろそろ薄暗くなり始めた放課後の教室で、この変態教師は何を言っているのだろう。
そもそも俺は先生を好きだなんて微塵も思っていないんだが。
ついこないだ言った「好きな人がいる」なんて言葉、すぐに取り消したい。
だけど、僕は先生のあの無表情が忘れられ無かった。またあんな表情を見せられたら、と思うと俺の心はどんどん重くなっていった。



「久遠、明日は休みだろ?今から俺のうちに来ないか?」



ぞぞ、と背筋が凍る。だって、今日のHRで外泊するな、と言ったのはどこのどいつだ。紛れもない、先生、あんただよ。「今からはちょっと…」俺が語尾を濁せば、先生は言い聞かせるように言った。



「大丈夫、久遠の親御さんならわかってくれる」



何を根拠に言ってんだ、こいつ…。

結局拉致されるように車に押し込められた。
どうやって逃げ出そうか考えていると、先生の家についてしまった。どうしようか本気で考えるが、何一ついい案が思い浮かばない。



「さぁ、入って入って。少し散らかってるけど」



背中を押され、家のなかにはいる。

ガチャン、ガチャ

鍵がかかった音を聞いて、俺は逃げられそうもない、と悟った。



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結局朝帰り








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