担任は体育会系だ。俺は文系で、無駄に熱血な担任が苦手だった。



「どうした久遠、元気無いぞ!」



バシン、と背中が景気のいい音を立てた。痛い、と思いながら背の高い担任を見上げた。
程好く焼けた肌と白い歯が嫌にマッチしている。
こんなに暑苦しくても、ルックスが良ければ女子にモテるんだもんな。



「なんもないっす…」

「そんなことないだろ?ほら先生に言ってみろ!」



あぁ、もう、顔近いんだよ!柑橘系の匂いが煩わしい!
俺はため息を飲み込む。ため息なんて漏らしたらもっと面倒だから。
何か適当な言い訳が無いかなぁ、とか考える。そこで、俺はいいことを思いついた。



「あの、先生?」

「どうした!?」



なんでこんなに必死なんだろう。



「俺、好きな人に告白しようと思って…」



そう、俺の思いついたいいこととはこれだ。
教師だって流石にこういう恋愛事の話にまで首は突っ込まないだろう。



「あの、だから今は放っておいてく」「久遠、お前好きなやつがいたのか」

「え…」



先生が真面目な顔をして俺と向き直った。
いつも笑顔な先生が、今は表情を無くしていた。
ドクン、と嫌な鼓動が俺の体内で響く。先生の声はやけに静かだった。



「せんせ、どうし…」

「なぁ久遠」



先生の、俺より断然太い腕が近づいてくる。
俺は音をたてるように唾をのみこんだ。



「その好きな奴って先生の事だよな?」

「は、」



先生の顔に何時ものような笑顔が戻ったと思えば、この一言だ。
俺は腕を掴まれていることも忘れて先生をぼんやり見つめてしまった。



「否定しないって事はそうなんだよな?ハハハ、先生は嬉しいぞ、だって先生も久遠が、」



意地でも聞かないで逃げれば良かった、と俺は先生の満面の笑みを見つめながら後悔した。



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妄想激しい系教師








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