女子が不良に恋したり憧れるのは昔からの共通と言うか、俺のクラスにいる不良がやたらと人気なのがそれを物語っている気がした。
素行こそ最悪だが、かなり顔が良い。モテる理由がそれなのは歴然だ。
不良がどんなに突っ慳貪な態度をとり、最悪な行動をとっても、
「そこがいい!クールなところがいい!」
なんて女子が続出する。つまるところ、顔がよければなんでもいいのだ。

まぁ、顔は整形でもしない限り変えられないので、どんなにその不良に嫉妬したって仕方がない。だから俺は妬みやその他もろもろを含め何も口にしない。そもそも、その悪口を本人に聞かれたら、と思うと言えるわけがなかった。

そんなモテモテ不良に、俺は呼び出しをくらった。


俺の想定は、サンドバッグにされてストレス発散に利用されるか、喝上げで不良の財布の肥やしにされるかの二択。
マイナス思考な訳じゃない。ただ、不良からの呼び出しと言ったらこの二つ以外思い付かなかっただけだ。
どうしても行きたくなかったが、結局、俺に逃げ出すような勇気は無くて、指定場所だった校舎裏にやって来てしまった。背中は冷や汗でびっしょりだ。
……大体俺が何をしたって言うんだ。あいつとの関わりを一切持ったことのない俺がサンドバッグにされる理由が見当たらない。あ、でも喝上げは関わり無くても出来るか。喝上げの線が濃くなっていくなか、俺は財布の中身を確認した。渡した金額によってはサンドバッグ+喝上げのダブルパンチになりかねない。
財布を見れば思ったよりも入っていて、ダブルパンチは避けられそうだと安堵の息をもらす。その時、ちょうど奴は現れた。


「よう、逃げずに来たんだな」

「……平田、くん」



呼び捨てしそうになって慌てて『くん』をつける。
ニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべる平田に嫌気がさしたが、顔に出ていて「なんだその表情気に食わねえぶっ殺す!」なんて事になったら困るので顔を引き締める。
平田は俺に近づくと、口を開いた。



「俺と付き合え」

「は?」



聞き間違いだろうか。そう願わずにはいられない。
だって俺男だもの。



「え?平田くん…え?」

「んだよ文句あんのか」



ありまくりだけど、口には出せない。
混乱する頭で無理やり考えた。付き合え?あ、もしかして"何処か"に、俺と付き合えってことだろうか。完全に無理がある解釈だったが、とりあえず俺は平田に聞いてみることにした。



「何処に付き合えばいいんですか?」

「はぁ?」



呆れたように方眉を上げた平田に内心びくつく。平田はため息を吐いた。



「そうじゃねえよ馬鹿。てめえ天然か?」

「言われた事ないです…」



肩を縮め、俺は相手を伺う。一々怖いんだよ。
しかし、これに呆れてくれればいいのだが。淡い期待を寄せていたら、平田は口を開いた。



「けどそんな所も気に入った!」



な、なんだそれ!!
ツッコミを入れずにはいられず、心の中でつっこんだ。
平田はニヤニヤと笑顔を浮かべて、俺の肩を抱く。体が拒絶を示した。



「これからよろしくな?」



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強引な奴が好きです
因みにヤンデレも好きです








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