※擬人化
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我が家の愛猫、ミーコ(♂)が今日で二歳を迎えた。立派に成長してくれて俺は凄く嬉しい。
スラリとした体格と、艶々としたパールみたいな毛は、親バカとかをぬいても美人にゃんこなんだと思う。
ミーコは俺に一番懐いているため、こんなめでたい日でも俺以外には近づかない。こんな調子だから、世話は全部俺の役目だ。別にいいんだ、むしろ嬉しいもん!
「ミーコ、エサだよ」
「にゃーお」
すりすりと足に寄ってくるとか犯罪的に可愛い。
たぶんエサ寄越せー、って鳴いてるんだろうなぁ、とエサを与えてあげた。ミーコは俺の顔を見上げたあと静かにエサを食べ始めた。
夜はミーコとベッドで寝るのが日課だ。夏場は少し暑いけど、ミーコの可愛さでなんとかなった。
「おやすみミーコ、大好きだよ」
「にゃー」
ミーコの元気な返事を聞いて、俺は眠りについた。
寝惚けたままベッドの上を探る。いつもならあるはずの毛むくじゃらが見当たらなくて俺は起き上がった。
「ミ、…!!?」
まだ重たい瞼を持ち上げて辺りを見渡せば、ミーコは居らず、代わりに全裸の白髪男が体を丸めて寝ていた。
思わずベッドの端に体を寄せる。
身に覚えのない男が自分のベッドで寝ている光景に、背中から汗が吹き出した。
「だ、誰だ!」
俺は男から充分な距離を取って話しかけた。男は一度大きく体を動かすと、寝惚けた表情でこちらを見てきた。
かなり綺麗な顔をしている。
「ふみ?…あれ、俺…」
「な、なんで俺の名前…」
かなり怖くなってきて、俺は部屋から出ようと駆け出す。しかし、謎の男に足を掴まれ転倒した。
なんだこれ超こわい!
「なんで行っちゃうの…?」
「飼い猫を探しに行くんだよ!はなせ!」
「俺がミーコだよ!」
はぁ?と思わず声をあげる。男は至極真面目な顔していた。
そんなものが信じられるはずもなく、俺は声を荒げた。「ふざけないでくれ!ミーコは猫だぞ!?」男は急に涙目になって俺に詰め寄ってきた。
「俺がミーコだよ、本当だよ、信じてよ…」
男の涙目に、思わず信じてしまいそうになる。俺はおずおず口を開いた。「ほ、ホントにミーコなのか…?」男の目が輝く。
「うん!信じてくれるんだね!やっぱりふみダイスキ!」
「うわっ!くっつくなよ!なんか固いの…!」
男、改めミーコが全裸なことを忘れていた。俺のよりも立派な逸物が、太ももに当たっている。気持ち悪いので、俺はミーコに服を押し付けた。「これ着ろ!」
「ふみ、着れたよ」
腕を引っ張られ振り向く。俺の服は小さいのか、つんつるてんでみっともない 感じになっていた。手足が長いのが一目瞭然である。…自慢か!
ミーコはでかい体で俺を抱き込んだ。いつもなら俺が抱いているのに。なんだか複雑だ。
「ふみ、良い匂いする」
「くすぐったいだろ」
たしかに、こうやって甘えてくるところがミーコみたいな気がしなくもない。
後ろのミーコを見上げる。ミーコは満面の笑みだ。
いつになったら猫に戻るんだろうなぁと思いながら、俺も少し笑ってみた。
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たぶんもう戻らないでしょう
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