小さな頃から幽霊やら心霊やらの類いが酷く苦手で、それは高校生になった今でも健在だ。



「じゃあなー、後ろに気をつけろよ!」

「やめろよそういうの!!」



チャリをゆらゆらさせながら、俺と反対の道を行く友人に怒鳴った。夜の道にはよく響く。
友人は高笑いをしながら去ってしまい、俺は友人に言われた事が胸の重しになった。

(本当に止めてくれよ…!)

俺は早く家に帰るため、全速力でチャリをこぐ。
後ろは見ちゃダメだ、そう言い聞かせながら。





「ああいう事言うのマジでやめろよ!」



次の日、友人にそう怒鳴ってみる。しかし彼はまたも笑うと、俺の肩を叩いた。



「これを気に、克服しろよ」

「……いいよ克服なんか」



俺はそっぽを向く。友人が苦笑しているのが聞こえて、酷く情けなくなった。



「どうしたの?なんかテンション下がってるけど…」

「あ」



声をかけてきたそいつは、イケメン芝田だ。先程まで女子と絡んでいた彼がいつの間にか俺の後ろに立っていた。
俺は芝田にすがった。



「うわわわ、え…」

「聞いてくれよ芝田!あいつ!俺がお化けとかダメなの知ってて色々言ってくんだよー!」

「誰にチクってんだよお前は」



友人は笑い出す。
くそ、なんか言ってやれイケメン!と、芝田を見やるが、芝田は顔を赤くさせているだけで何も言わない。



「もうお前とは帰らん!」

「一人で帰れんの?」



ニヤニヤ、友人が嫌らしい笑みを浮かべる。
言葉につまった俺は、芝田の服を掴んだ。



「し、芝田と帰る!」

「え、!」



友人はブハ、と吹き出す。
別に変な事言ったつもりの無い俺は芝田の服を掴んだまま首を傾げた。



「お前自覚ねーもんな、芝田どんまーい」

「うっさい。……じ、じゃあ、今日一緒に帰ろうか」



すっかり置いてきぼりだった俺に向き直った芝田はそう言った。
俺は友人に睨みを効かせながら芝田の言葉に頷いた。








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