高校から帰る道筋、中学校がある。男女が並んで歩いていると、青い春かぁ、とほのぼのすると同時に、俺は中学の頃にそんな甘酸っぱい体験はしなかったなぁ、と寂しくなった。

家に帰る途中、自販機の前に中学生がたむろしていた。
俺が中学の時もいたな。クラスでも中心的な人物で、制服を気崩してあんな風に放課後はたまってるやつ。下級生らしき子達は縮こまりながら帰っていて、なんだか可哀想だ。
俺は少しその集団を眺めたあと、通り過ぎた。
その中の一人と目があった気がした。

次の日、帰るのがいつもより大幅に遅れた20時すぎ、自販機に一人だけ誰かが立っていた。
自販機の薄明かりでぼんやり浮かぶその人は、中学の制服を身につけていた。最近の子は遅くまで遊んでるんだなぁ、と思いながらその人を横目に横を通りすぎた。なかなかのイケメンだった。



「まって!」



いきなり聞こえた声に、思わずチャリのブレーキをかけていた。
キキー!という音が辺りに轟く。
声がした方へ見ると、自販機の前にいた少年が立っていた。今度は薄暗くてよく見えなかったが、多分そうだ。真っ白なシャツだけがぼんやり浮いて見える。



「は、い…?なんでしょうか…?」



呼び止められる覚えもないため、俺は取り敢えず反応してみる。彼は一度俯くと、勢いよく近づいてきた。
チャリに跨がっていたため反応も出来ないまま、目と鼻の先まで距離を詰められた。



「名前!お、教えてよ!」

「は、?え、や、柳谷正治ですけど…」

「正治……わかった、ありがとう!」



そう言って駆けていく白い背中。
俺はそれが消えるまで眺めていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そしてつきまとわれる日々…








第4回BLove小説・漫画コンテスト応募作品募集中!
テーマ「推しとの恋」
- ナノ -