「これ、はい」

「あ、ありがとう」



滅多に話などかけて来ないギャル系の女子がノートを俺に渡してきた。先生に頼まれたのだろう。
彼女は俺の近くに座っていた友人に熱視線を送りながらギャル仲間の元へ帰っていった。
対照的に、友人は冷めきった瞳で、ギャルに渡してもらった俺のノートを凝視していた。



「…どうした?」



顔が綺麗な分、無表情になると妙に怖い。
友人はノートから目を反らさないまま喋りだした。



「あの女、お前に話しかけただけじゃなく、私物に触ってた。むかつく」

「はぁ?」



いつものように俺に対する並々ならぬ執着心を見せてくる友人。俺はそれを特に何か感じる事もなく笑いながら返す。「ノート渡しただけだろ?」友人は傷ついたような顔をしてノートから視線をずらして俺の方を見た。



「なんであっちを庇うの?」

「別に庇っちゃいないけど…」

「俺よりあのギャルをとるんだ!」



ガタン!と激しい音を立てて立ち上がる友人。クラスは騒然となった。だって、友人はクールな存在として通っていたから。
今の友人に、クールさなど見当たらない。今にも喚き散らしそうな顔を見て、俺は友人の手を引いて教室を出た。

教室から離れた廊下で立ち止まる。もうチャイムがなってしまったから、廊下は閑散としていた。
友人は俺を冷たい瞳で見下ろす。こうなると友人はとことん厄介だ。だから俺は奥の手に出る。



「ごめんな、本当にそんなつもりはなかったんだ」



そう言って抱きついてやれば、友人は抱き返してくる。強い力で抱き止められ、背中が反るのが分かった。
首筋に顔をうめた友人はぼそぼそと喋り出す。



「俺こそ怒鳴ってごめん…」



犬みてーだなぁ、と思いながら背中を擦ってやる。いつも同じ、そんな関係。



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好きだ!離れたくない!な美形が美味しいです
そのうちうまくはぐらかされている事に気づくんじゃないかな








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