「ひぃやぁぁあぁぁ!!!」
突然の奇声に、びくりと体がはねる。
隣の弟の部屋から聞こえたそれに、俺は慌てて自らに部屋を飛び出した。
弟の部屋に突撃した。俺が事情を聞こうとする前に弟は涙目で俺に抱きついてきた。少し心臓が高鳴ったのは内緒だ。
「お、おいどうしたんだよ?悲鳴なんてあげて…」
「く、蜘蛛!!蜘蛛がいたんだよ!でっけーの!!」
ひいひい言いながら俺の服を握る。
なんだ、蜘蛛か。俺は弟の体を退けると、部屋の中に入る。
確かにでかい蜘蛛がいた。
でかいが、いつもツンツンしている弟が虫が苦手とは、なんだか心がぽやぽやした。
にやつく顔を悟られまいと、俺は蜘蛛をティッシュで取り、窓から外に逃がした。
「ほら、とったぞ」
後ろの遠いところにいる弟に言えば、安心したのか息をついていた。
たまにはお兄ちゃんらしいことをするのもいいな、なんて思いながら部屋を出ていこうとする。しかしそれは弟の手により出来なくなった。服の袖を掴まれたのだ。
「どした?」
「……あの、ありがとう」
恥ずかしそうに俯きながら言うものだから、俺はまたにやつく顔を隠すことに必死だった。
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リメイク^^
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