王道学園。転校生くんが出てくる事はありません

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春、よくわからないがイケメンが讃えられる高校へ入学。
平凡面な俺がちやほやされるわけも無く、平和どころか空気のような入学式を終えた。
次の日には、流されるように女みたいな顔をした奴と友人関係になり、そいつに誘われて『生徒会会長親衛隊』に入隊した。会長様を特別好きなわけでは無かったが、部活くらいのテンションで入った。
入隊後は、友人に会長様が出没するというスポットに連れ回され、ギャーギャー騒ぐ事を共用された。さらに、可愛いのに怖い先輩達に抜け駆けした時の制裁内容や、やってはいけない事をこと細かく言われた。あんな、全く笑わない仏頂面のどこが良いんだろう。やっぱり顔なのか。なんだかしょっぱい気持ちになった。


二年生になった。先輩達は引退して、よくわからないが三年生を差し置いて友人が親衛隊隊長に昇格した。しかも満場一致。なんだか怪我をした先輩がちらほら居た気がするが、取り敢えず気にしない事にした。

会長様も三年生という事で、引退するそうだから親衛隊から花束を贈呈する事になった。
親衛隊隊長である友人の側近に近い存在になりつつあった俺は、付き添いという名目で生徒会室にやってきていた。
親衛隊になって一年たっても会長を好きと言えない俺が、こんな大事っぽいものを見届けて良いのだろうか。



「会長様、お疲れ様でした…!」



目に涙を浮かべた友人が会長に花束を渡す。そんな姿を見ていた他の親衛隊隊長も涙目で熱い拍手を送る。
そんな中、一人だけ渇いていてまばらな拍手を送る俺。なんだこの温度差。やっぱり俺はお呼びじゃねーのか。
早く帰りたくてあくびが出そうになっていると、でっかい花束を友人に突き返した会長様が俺に手を伸ばした。



「お前、なんで親衛隊なんか入ってんだよ」

「え、」



会長様のいきなりの行動に、他の役員すら驚きを隠せないようだった。
もちろん、俺も意味が分からなくてぽかんとしてしまう。
舌打ちをもらした会長様が俺の手を引いて、奥の部屋へと入っていく。ガチャリと聞こえた鍵がかかる音。
辺りを見渡すと、キングサイズベッドが一つだけ。



「お前、別に俺のファンじゃねーだろ」



びくり、と肩が震える。図星だからだ。
会長を好きでも無い人物が親衛隊に居るのは、やはり不愉快だったのだろうか。何か言われるのが怖くて目を泳がす。



「お前だけだ。俺を見て目が死んでる奴は」



だって、好きでもなんでも無いんだ。当たり前だろ。
もちろんこんな言葉が声に出せるわけなく、立ち尽くす俺を先輩が張り倒した。
俺の身体はうまいことベッドに倒れる。その上に跨がってくる、一年間毎日のように見ていた会長様。



「初めてだ。お前は俺の前に必ずと言っていいほど現れるくせに、絶対に無関心」


会長様の顔が近づいて来て、耳もとに口を寄せてきた。ゾワゾワする。



「気になってしょうがねーよ」



会長様が笑った気がした。



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仏頂面で俺様な会長様と無関心親衛隊
二人の関係が進展する気がしないです








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