なんか下品

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昔から幸は薄い方だったとおもう。
修学旅行でのパーキングエリアで置き去りなんて事もあったし、何度チャリを盗まれただろう。サドルだけなら百回位あるかも知れない。
それでも生死に関わるような怪我はしたことないのだから不思議だ。
…まぁいい、今までは今までだ。過去の事はもう関係ない。

だけど、今回は別だと思う。

塾の帰り道、公園で組み敷かれた。
近道しようと思った俺が悪かったというのだろうか?体格からして男だろう。まさか同性に組み敷かれるとは思っても見なかった。
いや、まて。冷静にこんなこと考えてる場合じゃない。早く逃げないと考えたくもない最悪な事が起こるかもしれない。生憎今は夜で、周りに人どころか生物の気配すらしない。相手の顔は当たり前のように見えなかった。



「や、めろよ!変態!触んな!」

「あは、可愛い、可愛いよゆうちゃん」



ハァハァと吐息混じりに囁かれた言葉に、俺はどこか心当たりがあった。
兄貴の友人で、やたらと目の引く綺麗な容姿の男。



「…た、橘さん?」

「あれ、なんでわかったの?」



あっさりと肯定した目の前の見えない男にため息がでた。橘は飽きもせずに俺の身体をまさぐり、更には顎や首や頬に唇を落とす。俺は橘の顎を無理やり押して体を離させた。



「……犯罪ですよ、橘さん」

「えへへ、だってゆうちゃん可愛くて」



そんな理由で俺は押し倒されたのか。自分が不憫でならない。
とりあえず立ち上がろうと橘の体を押す。が、びくともしないし彼は退きもしない。睨むように目を向ければ、笑っているのかわからないが肩が揺れている。



「あの、退いてください」

「ねぇゆうちゃん」



無視かよ。
変わらず退く気配すらないので、俺は少し乱暴に体を押してみた。だが、その手はあっさりと掴まれてしまった。



「このまま気持ちぃ事しない?」

「うへっ?!」



ぺったんこの胸についている飾りを服の上からぐりぃと摘ままれた。痛みから涙が出てくる。俺を気遣うこともせずに、橘は手をするりと俺の服の中に忍びこませた。
ま、さか。本気でヤんのかこいつ。や、やばいやばいやばい。橘の手は止まらないし、俺の頭は混乱した。
何かこの状況を打破するいいアイデアは無いかとぐるぐる考えていれば、公園の入り口付近からカツ、カツ、と足音が聞こえた。
俺は助けを呼ぼうと慌てて大声を出そうとしたが、それは橘の唇に塞がれ叶わなかった。



「ん、んー!」

「おーい、ゆうきぃ?」

「!?」


…――兄貴の声だ。
きっと帰りの遅い俺を心配して探しにきてくれたのだろう。こんなところ見られたらまずい。男に襲われている場面なんて、肉親に見せられるわけがない。
足音はどんどん俺と橘がいる場所へと近づいてくる。俺は息を止めて身体を硬直させた。それをいいことに更に激しくなるまさぐりはこの際無視だ。



「…いないのかな」



ぽつりとすぐそこで呟きが聞こえ、足音はどんどん遠ざかっていった。
俺は息を深く吐いて、ズボンを脱がしかかる橘の手を叩いた。「これ以上やったらまじで怒りますよ。橘さんなんか無い存在として扱いますからね」幼稚な脅しをかけてみる。橘には効果てきめんらしく、謝りながらすぐ退いた。俺はそんな橘の出来物ひとつ無い頬にグーパンチを食らわせて走って公園から逃げ出した。



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リメイクしても落ちが来なかった…(^o^)








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