なんちゃってファンタジー?
血がちょいでます

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それは、憎たらしいくらいに天気がいい日だった。刺すような日差しは、俺の肌を紫外線で焦がそうとしている。

信号が青に変わったとをこの目で見て、俺は歩き出した。それなのに、この体を抉るような鋭い痛みと衝撃は何だろう。
霞むゆく意識の中、耳ははっきりと走り去る車の音を捉えた。

死ぬのか。

俺は、轢き逃げをされて、死んでしまうのか。
ズクンズクンと身体中が痛い。
きっと血も出ているんだろう。体の端が冷たくなっていく。

俺は『轢き逃げした奴呪う』と思いながら意識を手放した。










目を開けば、一面真っ白だった。
眩しさに思わず顰めっ面になりながらも、俺は体を起こす。
辺りを見渡せば、何一つ目に入ってこなかった。ただ白いだけ。

俺は自らの体を触る。
どこも怪我はしていないようだが、服の赤黒い染みに、どうしようもない不安感に襲われた。
もしかして天国?なんて下らない思考を巡らせていれば、ふと目の前に誰かいた事に気がついた。

気配なんて、まったくなかった。

俺を見下ろしたその人は、やけに綺麗な容姿をしていた。美しいとはこの事だ、と言った感じである。
しかし、その美しさはどこか冷たく、不気味さを滲ませていた。
本来なら、こんな状況でこんな怪しい人物と対面を果たしたら、一目散に逃げ出すのだが、まったく体が動かないのだ。
硝子玉のような瞳が、まるで俺を縛りつけているようだった。



「…だ、れだよ。あんた…」



俺は震える声で問いかける。
すると、目の前の美丈夫はこてん、と首を傾げた。
そして、俺の視線に合わせると口元だけを綺麗に歪めた。



「君は死にました」

「は……」

「厳密に言えば、少しだけ死にました」



いきなり口を開いたかと思えばこれだ。
俺の質問は既に無いことにされたらしい。
にしても、死んでる?俺が?
思わず再び体を触るが、ちゃんと温かいし形もある。
俺はその硝子玉を見つめ返した。



「君は生きてます。僕が生き返らせました」



恩着せがましい響きを含ませたそれに、俺は恐る恐る礼を口にする。
彼は目元を細めると、俺の前に手を差し出した。
体がにわかに強ばる。



「僕は君の命の恩人です。するべき事はわかりますね?」



彼の手は、怪しく銀色に光っていた。



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未知との遭遇








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