夏は暑い。わかりきったことだが、口にでも出さないとやってられなくなりそうで、俺は滝のように流れる汗を拭いながら呟いた。「暑い」

俺は特に太ってたりするわけではないのだが、やたらと汗をかく。そんでもって暑がりだ。冬でも何故か汗をかくし、友達には暑苦しいとさえ言われた。俺なにも悪くないのに!
そんな俺は、夏が嫌いだ。理由は言わないでもわかるだろうが、汗をいつも以上にかくから。ほんと、この体質治んないかなぁといつもいつもこの季節になると思ってしまうのだ。



「あー今日もたっぷり汗かいてるな」



友達がニヤニヤしながら言う。俺は常備しているタオルで汗を拭いつつうっせーと返した。「そんだけ汗かいてると臭くなりそうだよな」何て失礼なことを言うだ、と思いつつ俺は友達にシーブリーズを見せた。友達は納得した顔で「だから臭わないのか!」なんて言うもんだから、そろそろこいつを殴っても許されるきがする。



「そうそう、お前の汗より大事なビッグニュースがあんだよ!」

「なんだよ、ビッグニュースって」



友達が身を乗り出してくるもんから引き気味に答える。何故か自慢げな顔で友達は口を開いた。
「実は、うちのクラスに転校生がくるらしいぜ!」
それは確かにビッグニュースだ。しかしこんな時期に珍しいな。友達は男か女か気になってしょうがないと言いながら、他の奴のところへ行ってしまった。嵐みたいな奴だ。
少しすると、先生が教室に入ってきた。もうほとんどの生徒が転校生の存在を知っているようで、教室はいつまでも騒がしい。先生はそれを黙らせると転校生を教室に入れた。
静かだった教室はあっという間に騒がしくなった。主に、女子の悲鳴で。
転校生は男だった。しかもイケメン。クラスのほとんどの男子のテンションが目にみえて下がっている。



「転校生の菅くんだ。仲良くするように」



先生はお決まりのようなセリフを言うと、転校生元い菅くんを空いてる席に誘導した。俺の斜め前だ。見事隣になった女子がすごく嬉しそうな顔で菅くんに話しかけているのが見える。とりあえず俺はこの短時間でかいた汗を拭った。

時間は変わり昼休み。休み時間毎に質問攻めを食らっていた菅君が未だに囲まれている。友達もその輪のなかにいるようだ。俺はわざわざ声を掛けるのも面倒なので友達は放っておいて購買にむかった。
昼休みにもなると、タオルは二枚目に突入していて、日も高い上にいい天気だからか今日は何時もよりも汗をかいている気がする。後でシーブリーズつけなきゃなぁと、購買でかったパンをぶらぶらと振っていた。すると、前から人集りが歩いてくる。菅くんだ。女子に囲まれて、ちょっと迷惑そうな顔してる。可哀想だなぁとか思いながら通り過ぎようとすると、誰かに腕を掴まれた。
突然のことに驚いていると、俺の腕を掴んだ奴を目で追う。
なんと、菅くんだ。周りの女子も驚いている。



「ねぇ、購買の帰りでしょ?俺を購買に案内してくれないかな」



菅くんの声が辺りに透き通るように響いた。女子が慌てたように、わたしがわたしが!と声をあげ始める。そんな彼女らを菅くんは眉を下げながら見た。「気持ちは嬉しいけど、男同士の方が気が楽だし…君達もお昼食べてないでしょ?」女子は黙ると、私たちに気を使ってくれてる、と解釈したのかわりと簡単に離れて行った。
ふう、と息をついた菅くんは、俺に向き直った。



「ごめんね、勝手に巻き込んで…俺少し女の子は苦手で…」



そう言って菅くんは苦笑する。俺は別に平気だと返す。女が苦手とはもったいない。菅くんほどの顔があれば選り取り見取りだというのに、とくだらないことを考えていると熱い視線を感じた。菅くんだ。
「な、なに?」
菅くんは、俺の首を触ってくる。げっ、一番汗かくところなのに!急なことに俺はろくに反応もできなかった。



「すごい、君の汗ちっともベタベタしない…」



菅くんのつぶやきに俺は少し距離を取る。なんかこの人変かもしれない。
「しかも匂いも良い…!」
そう言うと距離を開け始めていた俺の首筋に菅くんがかぶりついた。びっくりした俺は思わず菅くんをはっ倒した。
菅くんはキョトンとしていたけど、目は明らかに何かあやしいものを宿している。
俺は全速力で逃げた。



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そして追いかけられる毎日に…。シチュエーションボックスからネタをお借りしました!ありがとうございます;;








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