※暴力表現

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耳についたピアスが光る。
今井以外の不良初めて見た!とか考えている余裕はなかった。
そいつが握ってるのは、頭だった。誰かの頭。
頭だけを持たれて、体は地面に投げ出されている。顔は血だらけで見るに耐えない。
俺の体は凍り付いたように動かなかった。まるで蛇に睨まれた蛙だ。もちろん俺が蛙。



「あ゙ー…、誰だてめぇ」



その人が、持っていた頭を離した。ゴッ、と鈍い音が響く。
俺は転がるその人に目が離せなくなった。



「誰だ、って聞いてんだよ」

「…!?」



今度は、俺の頭が鈍い音をあげた。壁に打ち付けられた所から、鈍痛が響いていく。
俺は眉間に皺が寄るのを感じながら、その人に視線を投げ掛ける。ギラギラ光る獰猛な瞳に、恐怖を覚えた。
彼は手に更なる力を込めると、俺の頭が壁にめり込むんじゃないかと思わせるほどの圧力を加えた。鈍痛は鋭敏なものに変わっていく。俺は呻き声をあげた。



「チッ、ちっとも愉しくねぇや」



彼は呟くと、俺の頭から手を離すとトイレから出ていった。
俺はその場に座り込んだ。
怖かった。
押さえつけられていた頭は痛み、体が震えて止まらない。



「あれ……鈴木?」

「あ…」



顔を上げれば、白い顔が目に入る。「み、ね…」呟けば、峯は俺を立たせてくれた。



「こんな所でどうしたの。それに…」



すぐそこで倒れ込んでいる人に目をやりながら峯は呟いた。
俺はなにも言えなくて、首を振った。その人のであろう血の臭いに今にも吐きそうな気分だった。



「…まぁいいや。部屋、戻る?」

「だ、大丈夫だから。…ごめん、ありがとう」



俺は峯の横をすり抜け、食堂に向かった。








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