次の日、早速部活に向かおうと足を動かす。
峯と井藤は後からくるそうだ。
昨日も来た教室をあける。
誰もいな、
「うっお、」
…誰かいた。
そこにいたのは、上半身裸の、イケメンだった。最近、よくイケメンをみるなぁ、と思わずその顔をまじまじと見てしまう。
その人は、「いやん」なんて低い声を出しながら胸元を隠した。隠すもの無いだろ。
「もう、着替えるんだからあっち向いてよっ」
「はぁ、すみません」
なんでオカマ口調?と思いながらも、特につっこまず彼に背中を向けた。「ツッコめよ!」と言いながら、彼は着替えているのか服の擦れる音が響いた。
少しして、肩を叩かれて後ろを見れば、やたらと胸元を空けてシャツを着ていた。
イケメンがやっているからか、可笑しく見えない。
俺がやったらイタイだろうな。
「もしかして、君が新しく部活に入る子?」
「え、たぶん…」
「そっかぁ!俺はね、米良逸っての。すぐるんって呼んでね?よろしくー」
「あ、鈴木ですよろしくお願いします」
緩いしゃべり方を聞きながら、米良を見上げる。
彼は誰なのだろう。
峯が言うには、この部活には幽霊部員がいるらしいが、この人がそうなのだろうか。
そんな疑問を浮かべつつ、米良を見つめていたら、米良は気まずそうに頬を掻くと頬を染めた。
「そんなに見つめられると照れちゃうなぁ?」
「あ、ご…ごめんなさい」
慌てて目をそらせば、二人の間に少し沈黙が流れた。
き、気まずい。
――ガラガラ
「うわー珍し、米良さんがいるー」
「お、峯だ。おひさー」
部室に入ってきた峯が声を上げた。後ろに井藤もいる。
米良は笑顔で手を振りながら峯に近づいて行った。
「米良さんたまには部活来てくださいよ」
「うん、これからは行くよ。ね、鈴木」
「?はい?」
なんで俺に言うんだ。
何となく合わせるように返事を返す。
神妙な面持ちの峯が、何かに閃いたような顔をした後、にっこり笑った。
「鈴木やっぱり面白いなぁ」
「な、なんで?」
「ふふ、何となくね。なぁ井藤、面白くなりそうだよね?」
「…うっさい」
井藤は眉間に皺を寄せた。
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