腹が減って腹が減って仕方なくて、でも食べ物を買う金もなくてとうとう倒れたその目の前にたまたまそのお店があった。
それだけなのだけど。
「残りもんやけど食うか」
そう告げられて差し出されたたこ焼きがあまりに美味しくて泣きそうになりながら綺麗に平らげた。
「………犬みたいやな…」
小さく聞こえた独り言には気付かないふりをした。



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