「たこ焼き屋?」
「そう!しかもめちゃくちゃ美味くってさ!」
堂島くんが仕事の合間にお忍びで訪ねてきてくれた。
前と全然変わらない俺の生活に呆れていたが、行きつけのお店の話をすると「ちょうど小腹が空いてたんだ」と一緒に行ってくれることになった。

「こんちわー!今日は友だち連れてきましたー!」
「失礼す、る…………」
「またお前か。ええ加減、に………」
いつもの感じでお店に行くと、お互いがお互いを見てピシッと固まった。
「…あ、あれ?堂島くーん?」
顔の前で手を振るとハッとした堂島くんに心配そうな顔で両肩を掴まれ思いっきり揺すられた。
「辰雄!お前あいつに何もされてないか!?」
「ちょ、ちょっと、まっ、なに」
いきなりのことでなにも理解できてない俺に「ちょお待てや。そらどういう意味やねん」と助け舟が入った。
「…なんだ?お前と話すことはないんだが」
「あ?久々に会ったっちゅーんに随分な物言いやのぉ」
途端に冷たい表情になった堂島くん。
店主もなにやらいつもより怖い顔だ。
2人の間にバチバチと見えない火花が散っているのが見えた。
なんとか2人を宥めさせて聞いてみるとどうやら知り合いだったみたいだ。
「どんな関係なの?」
「…昔、色々あったんだ」
「そうなの!?」
「せやなぁ。色々あったなぁ」
「へぇ〜…」
………深くは聞かないでおこう。
俺は直感を大事にする男だからね。
結果を言うと、相変わらずたこ焼きは美味かった。
そこは堂島くんも認めざるを得なかったようで、なぜか悔しそうにしていた。
「また行こうね!」
「絶対に嫌だ」
「えええ!?」



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