「よしよしええ子やなー」
「わふっ!」
ある日お店に行ったら犬がいた。
尻尾をちぎれんばかりに振って「褒めて!」と言わんばかりだ。
「看板犬ですか?」
尋ねると「野良やけどな、なんか懐かれてしもた」と困ったように(懐かれたのは嬉しいみたいだが)言っていた。
「ふーん…」
とても店主に懐いていたので、試しに撫でようと手を伸ばすと唸り声をあげて威嚇された。
何度挑戦してもダメだったので、諦めてカウンター席に座ると、ボソッと聞こえてきた。
「………同族嫌悪ってやつやろか」
あのー…俺、犬じゃないんですけど。



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