美味しく召し上がれ
※銀河鉄道の終着駅にてネタ
※夢主≠玲ちゃん






「銀河鉄道の夜?」

「はい。今日、その話になったんです。」

「へぇ。何だか懐かしいなぁ。」



1日の終わり。
夕飯もお風呂も終えて、それぞれ寝仕度をしているときに豪さんが思い出したように話し始める。


「豪さんも読んだ事あるんですか?」

「大分前にね。名前さんは?」

「私も子供の時とかかなぁ。」



課題図書とかになってて読んだ事はあったけど・・・。
正直細かいとこまでは覚えてないかも。
カンパネルラとジョバンニとか、いじめっこ?のザネリとか・・・その位しかパッと出てこないや。


「私はどっちかと言うと、注文の多い料理店の方が印象に残ってるかもしれないです!」

「注文の多い、料理店ですか。」

「はい!知ってます?」

「もちろん。」


小学生のときに国語の授業でやって、なんか恐くて今でも覚えてる。
ふたりの若い紳士は最悪の結末にはならなかったけど、彼らのその後の生活を思うと、子供心に憐れに感じた。


「たしか話は、ふたりの若い紳士が狩りに出てるとこから始まるんですよね?」

「はい。さっぱり獲物を捕ることが出来なかった紳士たちが山猫軒に迷い混むんです。」

「名前だけなら可愛いですよね。」

「ふふっ、確かに!」


豪さんはすっかり寝巻きに着替え、寝る前のスキンケアをしている私の横を陣取って話を進める。


「でもいくら空腹でも、私は怪しくてそんなお店に入れないなあ。」

「そうですか?僕はきっと入って休憩しちゃうと思います。」

「あら!じゃあ私は豪さんを引っ張ってでも宿に戻らなきゃですね!」

「ふふっ、お願いしますね。」

「はい、任されました!」


季節は秋も深まってきて、夜にもなると外は凍えるほど寒くなる。
きっと紳士たちも寒さと空腹に判断力が鈍ったってのもあるのかもね。


「『当軒は注文の多い料理店ですからどうかそこはご了承下さい。』なんて怪しいと思うんだけどなあ。」

「じゃあ名前さん。注文が多いついでにそろそろベッドに入りましょう。身体が冷えちゃいますよ。」

「はーい。」


スキンケアも粗方終わり、髪もオイルを付けて終わり!
豪さんに導かれるまま、ふたりでベッド入る。

寝仕度をしている間に少し身体が冷えたけど、布団と豪さんの体温でじんわりと再び身体が温まってくる。


「ふふっ、豪さんあったかーい。」

「名前さんは冷えちゃってるじゃないですか。まったく、風邪をひいてしまいますよ?」

「そしたら、九条さんみたいに看病してくれます・・・?」


苦しんでる九条さんには申し訳ないけど、いつも豪さんに看病してもらってるのは少し羨ましかったりする・・・。


「それはできません。」

「えっ!」


さ、さすがに図々しかったかな!?
思わず下を向いて、くっ付いていた身体を少し離すと、


「こーら。」

「ひゃあっ!」


ぐいっと、さっき以上の力で抱き寄せられる。


「九条さんと同じ看病なんてできません。だって、名前さんには九条さんの何倍も甘やかしたいんですから。」

「っ!」

「それに、九条さんにはこんな事しませんしね。」


ちゅっ


「名前さんには僕のスペシャル看病を約束しますよ。」

「へへっ、嬉しい。」



そのままちゅっちゅっと、戯れのようなキスを繰り返す。
ふふふー。
幸せだなぁ。


「・・・。」

「豪さん?」


寝る前のイチャイチャを楽しんでニヤニヤしてると、急に豪さんが身体を起こして、私を上から見下ろすような姿勢を取る。

・・・?
なんかあった??


すると豪さんは、サラッと私の髪の毛を撫で付けるように触れてきた。


「泥を落として、綺麗にとかされた髪の毛。」

「え?」


ど、どうしたの急に・・・?


「鉄砲と弾は・・・置いてきてますね。」

「え、はい。そりゃあ・・・。」


もちろんもちろん。
非常時じゃないと携帯許可なんか降りないし、そもそも持ち帰れない・・・って、そうじゃなくて!


「ご、豪さん?」

「帽子と外套もキチンと脱いでありますね。」


あ・・・。
これ、注文の多い料理店の・・・、


「金物類は、もう全て取ってありますね。」

「・・・はい。」


豪さんの手のひらが、私の身体の上を優しく這う。

あとは寝るだけだから、ブラジャーも外してあって。
肌触りの良い、スウェット生地のワンピースタイプの寝巻きとショーツだけを身に纏っている。

金物類は、付けてない。


「ふふ、確かに。」

「・・・知ってるくせに。」

「さあ、どうでしょう?何せ注文が多いので。」


少しずつ豪さんの顔が近付いてくる。
身体を這っていた手は、私の頬を優しく撫でる。


「ふむ、もうクリームも塗り込んでいるみたいですね。甘そうだ。」

「ひゃあっ!にゅ、乳液ですっ!」

「・・・甘い。」


ペロッと頬を舐められる。
急な感覚に、思わず声が漏れる。


「香水は・・・無くても充分。名前さんの芳しい香りがします。」

「っ、」


首筋に顔を埋めた豪さんは、思いっきり息を吸い込む。
は、恥ずかしい・・・。


「では最後にしっかりと塩を揉み込んでください。」

「・・・。」

「あぁ、塩の代わりに甘い粉を纏っているようだ。」


ベビーパウダーだよ・・・。
豪さんの、私の頬を撫でる手が止まらない。
くすぐったい。




「あれ?名前さん、俺に食べられちゃう準備万端じゃないですか?沢山の注文を、クリアしちゃってる。」




「っ、」


悪戯な笑顔の豪さん。
知ってる。
こんな顔してる時の豪さんには、どうやったって勝てないんだって。




「・・・どうぞ、召し上がって下さい・・・。」




ペロリと舌なめずりをする豪さんは、すごくセクシーで、




「ふふっ。では、遠慮なく。」

「んんっ、」



私はただ、熱い唇を受けるしかできなかった。




「最高のご馳走です。」

「・・・味わって、下さいね?」

「もちろん、じっくり・・・いただきます。」

「あっ、」




残さず、私の全部食べ尽くして下さい。









銀河鉄道イベ、ストーリー最高でしたねー!



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