どうしたら彼女を大切にしてやれるのかをずっと考えていた。人を大切にしようだなんて今まで思ったこともなかった手前、一体どういう風にすれば良いのか分からない。散々人を傷つけてきておいて、今更こんなことを考えるのは可笑しな話だけれども。

そもそも、どうして急に彼女を大切にしようと思ったかというと、実は俺にも分からない。彼女への対応というものが、他と違うことには薄々気づいていた。それが恋慕の気持ちからくるものだと思い至らなかったわけでもない。しかし、そのような人間らしい鮮やかな感情が自分にあるとは思わなかったのだ。まさか。いや、まさか。そうしているうちに、ますます好きになっていた。

相手を知るほど好きになっていったのではない。自分をさらけ出せば出すほど、それを受け入れてもらえることを知れば知るほど、愛しく思えるようになったのだ。しかし、こわい。今日求めているものが、明日にはいらなくなってしまうのが。不確かなものに追いすがって、それが無くなったときに傷つくことが。おそろしくてたまらない。

いらなくなった彼女に、あんなに大切に想っていたものに冷めてしまう自分に、幻滅してしまうことが、こわくてこわくてたまらないのだ。


「ふふ、キラー、変な顔」

「仮面を付けてるのに、どうしてわかる」

「わかるもん。キラーのことは、なんだって」


ありのままの俺を肯定してくれる人が欲しくて、心から愛する人は一生に一人だけで良いから、それが彼女でなきゃいけない理由が必要で。その繰り返しだ。答えなどない。あるはずない。単純に「今」好きで、「今」欲しくて、「今」目の前にいるのが彼女だからという理由しかないのだ。


「なんでも、わかるのか?」

「あー、それうそ。うそついちゃった。ていうか言い間違い」

「言い間違い?」

「うん。本当は、キラーのことは、なんだって知りたいって」


「そういうこと、よ」と彼女ははにかんだ。俺はどうかしてしまったに違いない。生まれてはじめて、神に願った。彼女が最初で最後の人であってほしいと。心から願った。


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