さみしいときに、人はどうすれば良いのでしょう。


おそらく、人は永遠にさみしさを抱えて生きていくのです。大切な家族に囲まれていようと、一生の友がいようと、愛する人ができようと、自分の子が生まれようと。ある時、一人になってしまったある時に、ふと言い知れぬさみしさに苛まれると思うのです。どんなに恵まれた環境にいようと、それは必ず訪れるでしょう。

私は世界にひとりきり。そんな肌が粟立つほど身に沁みる孤独を抱えずに生きていくわけにはいかないのです。


遠くの空に夕焼けが滲んでいました。はじめ、朱と紺が溶け合うのを私は穏やかな気持ちで眺めていました。しかし、闇一色に空が移り変わり、冷たい風が吹くようになると、私はすっかり感傷的になって、ぎゅうと自分の体を抱きしめたくなるのでした。


「あいしてる」


背中に投げかけられた言葉は、思いがけないものでした。次に私を襲ったのは生温かい人の体温です。それが自分の知る人のものだということはすぐにわかりました。


「どうしたんです?」

「…………」


トラファルガー・ローは、確かに私の恋人でしたが、今まで一度だって愛を囁くことなどありませんでした。長らく彼と共にある私でも、その言葉はまったく耳に馴染みのないものだったのです。ですから、彼の「あいしてる」は、私の知るそれよりも重く響きました。


「おまえは?」

「はい?」


私を包んでいた腕が強ばりました。彼は、一体どんな気持ちで愛を確かめているのでしょう。私にはわかりませんでした。


「あなたのは知りませんけど、私は」


私は、あなたが隣にいてくれると誓ってくれても、さみしいと感じる日がくると思うし、あなたに愛されていながらも愛されていないように感じて涙を流す日がきっとくると思うのです。しかし、それでも私はあなたと共に生き、あなたを愛します。


「あいしています」


日が必ず沈むように、夜も必ず明けるのです。雨もいつかは止むのです。それを受け入れていけるから、私は、今、息をしているのです。


私たちは、時に人に裏切られ、時に人を裏切ります。失望し、絶望し、傷つけて傷つけられてを繰り返します。生まれる孤独。消えない孤独。けれど、でも、それでも、誰かを愛すことでしか、結局救われないのでしょう。

さみしくても、あいしてください。あいしています。さみしくても。
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