「マルコたいちょー!今日も素敵です!結婚してください!」
「………」
「え、無視ですか?」
「バカ、挨拶が先だろい」
コツン。おでこを指で小突かれた。それだけで何だか幸せ!一番隊に入れてもらってよかった。お父さん、ありがとう!
「ふへへ、おはようございます」
「あァ、おはよう」
「というわけで、マルコ隊長の女にして下さい!」
「無茶苦茶だよい」
呆れ顔のマルコ隊長は、やれやれと首を振って、どこかへ行こうとする。咄嗟に、私はその腕を掴んだ。
「私、本気ですよ!」
マルコ隊長の目からは何の感情も読み取れなかった。毎度のこととはいえ、告白されているのに、彼はびっくりするくらい無表情で私を見下ろしていた。怒っているのだろうか。しつこくしてしまったから?こわくて、涙が出そうだ。
「マルコたいちょ…」
「色気がない」
「え?」
「もう少し色っぽくなったら、考えてやるよい」
くしゃくしゃと私の頭を撫でると、マルコ隊長は自室に戻ってしまった。
甲板に取り残された私は、その場にしゃがみこんだ。そして、先程のやり取りを思い出す。色気がないからダメだったのか。そうだったのか。でも、色気って?さっぱりだ。さっぱり分からない。私が唸っていると後ろから声がかかった。
「どうした?腹でも痛いのか?」
「エース隊長…」
エース隊長は、クルーの中で一番年が近いからか、こんな下っ端な私をよく気にかけてくれる。とっても親切な人だ。ああ、そうだ!
「エース隊長、教えて欲しいことがあるんですけど」
「おう、なんだ?」
「色気ってどこから出すんですか?」
「えっ!?」
私は必死だった。