光の束がもつれあって、世界が真っ白になった。
「起きたか」
何かが頬を撫でたのが分かった。意識が散らばったまま、ぼんやりと一点だけを見つめる。見慣れぬ天井。横に大きな体温を感じて、私はそちらに顔を向けた。
「ドフラミンゴ」
隣に見つけた男は、いつもは見せない瞳を細めた。
「おはよう。オジョウサン」
「ここは………」
「俺の家だ」
「お前の家………」
「ちなみに俺のベッドの上」
清潔なシーツからは清楚な洗剤の香りがしていた。
「お前の部屋にしては、きれいだな……」
「フッフッフッ!気に入ったかよ?」
「ああ……」
「そりゃあ良かった」
目の前の男におおよそ似つかわしくない空間。大きな窓から光を取り込んだ部屋には朝の色で溢れていた。
「私の服は……?」
「あのボロなら捨てた」
「じゃあ、お前が私を着替えさせたのか?」
「フッフッフッ。ついでに風呂にも入れてやったぜ。さっぱりして気持ちが良いだろ?」
拳を振りかざすほどの元気はまだない。ニヤニヤと笑う顔を一瞥して寝返りを打つ。
「怒るなよ」
「うるさい。私は寝る」
「フッフッフッ、じゃあ俺もそうするよ」
そう言うなり、ドフラミンゴは腕を腹に回わしてきた。調子に乗るなと殴ってやりたいが、今は眠気の方が勝る。
「おやすみ」
「あァ、おやすみ。良い夢が見れそうだぜ」
微睡む私の体をドフラミンゴが抱き締める。決して嫌ではなかった。寧ろぴたりと寄り添ったその体の温もりが心地良く感じられた。
溶けゆく意識の隙間から洩れた吐息は至福のそれだった。
/朝