部屋の扉が開く音がした。

クロコダイルさん、今日も遅かったね!

そう言って、今すぐ彼のもとに駆け寄りたいのだけれど、寝たふりをした。

クロコダイルさんが私に会いに来てくれた!きっと疲れているのに、わざわざ私に会いに!

心の中では密かに狂喜乱舞。ああ、でもどうしてもニヤけてくるわ!だらしなく緩んだ顔を隠すため、私は枕に埋めた。


ギシリと。クロコダイルさんの重みを受けて、寝具が軋む。胸がドキドキした。それになんだかワクワクする。クロコダイルさんは、そっと優しく頬を撫でてくれた。どうしよう。もう限界だ。抱きつきたくて、その胸に抱かれたくて仕方ない。

そんなことを思っていたら、突然おでこに何かが触れた。ちゅっと小さな音をたてて、それは離れていく。


「わあああっ、クロコダイルさん!」


がばりと起き上がって、その勢いで彼を押し倒した。案外簡単に上になってしまって、こっちがびっくりしてしまう。一方、クロコダイルさんは少しも驚いた様子がない。もしかしてバレバレだったんじゃなかろうか。「きゃあ!」とか何かしらリアクションが欲しかったんだけどな。でも、クロコダイルさんからそんな反応が返ってきたら、私が悲鳴を上げてしまう気がする。


「あの、えっと、おかえりなさい……」


先に謝れば良かったのかしら。沈黙が痛かった。


/真夜中の二人
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