絶対いやだった。ルッチはいじわるだから。

今回の任務は恋人を装ってペアで行うって聞いてたから、てっきり相手は一番私と年の近いカクだと思っていた。
それがなんとあのロブ・ルッチが私の恋人役ですって?冗談じゃないわよ。長官のバカタレ。
しかも、一週間も同じ部屋に二人きり?
やだやだ。だったら、尚更カクが良い。カクは面白いし、たくさんお話できるし、抱きついても怒らないし、それどころかギュッと抱き締め返してくれるもの。
ルッチは私のこと、うるさいとか邪魔だとか言う。一回だけ抱きついたことがあったけれど、あの時は無言で突き放された。あれはショックだった。以来、ルッチに近づくのは極力避けていたし、ろくに口も聞かなかったのに。長官もそのことは知っていたはずなのに!


「行くぞ」

「…………」

「もたもたしやがって」


ルッチの舌打ちはいつになっても慣れない。こんな人と一週間も一緒なんて最悪だ。
無性にカクに会いたい。優しくてあたたかいカクにギュッてしてほしい。


ホテルが見えてきた辺りで、当然のようにルッチの長い指が私の手を絡め取った。


「ねえ」

「なんだ」

「恋人だからって始終手を繋いでるとは限らないでしょ」

「私情を挟むな。任務に集中しろ」


私情ね。確かに私はルッチが苦手だし、好きじゃない。今だって、この冷たい手を振り払いたいんだから。
だから、ホテルマンの前で、こめかみにキスされた時は心の底から長官を恨んだ。最低な一週間の幕開けだ。バカヤロウ。

/ちょっと、やたらとキスしてこないでよ!
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