食べちゃうぞ




熱い湯を浴びた後は、さっぱりとした気持ちがした。乾いたタオルでわしゃわしゃと髪の水気を払いながら、フィノはシャワールームを後にした。渡されたYシャツに腕を通す。流石に下着の用意はない。仕方なくそのまま着ることにした。着心地は、サラリとしていて心地良いし、フィノはそれに対して特に抵抗もなかった。鼻歌まじりにポチリポチリと釦を留めていく。白地の布に胸の先が透けて薄く色づいているが、フィノがそれに気づく気色はなかった。


「ぶかぶかだー」


クロコダイルの服は、フィノの体に対してあまりに大きかった。両手が使えないのは不便なので、袖口を捲り上げる。


「うーん。クロコダイルさんはお仕事中か……」


無人の部屋を見渡して、フィノはぽつりと呟いた。

丁度良い。探検しよう。

タオルをぐるりと頭に巻き、ぺたんぺたんとスリッパを鳴らしながら、フィノは部屋の外に出た。


「……ねむい」


ふあ、とフィノは大きな欠伸を洩らす。大理石の廊下。広い階段。壁にかかった豪華な絵画。立派な装飾品の数々に初めこそ感嘆の声を上げていたフィノだったが、早々に飽き始めていた。


「ベッド、どこかな?」


そして、程なくして見つけた寝室は、これまた大きな部屋だった。だが、それ以前に、ベッド自体が特別大きい。シーツは取り替えられたばかりなのだろう。しわ一つなく、微かに洗剤の香りがした。フィノは広々としたその空間に飛び込び、子供のようにゴロゴロと転がった。瞬く間にしわくちゃになったシーツに顔を埋めて、フィノはほうと息をつく。そのままじっとしていれば、ふわりふわりと睡魔が降りてきた。


この時、彼女は家主の存在を完全に忘れ去っていた。そこに彼がやってくるのは、もちろん彼女が寝入った後である。


「あ?」


深い眠りの淵に落ちた少女がそこに横たわっていた。ゆっくりと上下する胸元に目をやれば、薄い布に包まれた胸の先が、柔らかな輪郭を描いていた。薄手のワイシャツを一枚纏っただけの姿で、明らかに下着は身につけていない。加えて、瑞々しい肢体は剥き出しのまま。するりとその太ももを撫でて、その滑らかさを確かめる。柔らかそうな女の体。脚に指を這わす。きめ細やかな肌の心地良い感触に自然と口の端が上がった。少女の恥部へとたどり着いたが、やはりそこを隔てるものは存在しない。
クロコダイルはやおら少女に覆い被さった。あどけない少女の寝顔を見て、クロコダイルはニヤリと笑う。少女の首筋に顔を埋め、深く息を吸い込めば、濃厚な甘い香りが肺を満たした。




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