欲情する子供




私は若い。まだお金を稼いだこともなければ、お酒の味も知らない。かといって、子供だからと押し通せるほど子供でもなくなってしまった。体はしっかり大人になりつつある。けれど、体は心に準ずるものだ。私は貪欲だった。わがままで、幼稚な私は、ひたすらに目の前の男を求めていた。


「ねえ、ドレーク先生」


制服を纏っていようと、こうして男の袖を引くのは子供のすることではない。いやらしい女のすることだ。


「今はだめだ」
「学校だから?」
「分かっているなら………」
「その学校の生徒に手を出したのは、誰だったかしら」


私の挑発に、ドレーク先生は困ったように笑った。

彼は真面目な人だった。教育に熱心でストイック。生徒からも慕われていて、それでいて教師としての威厳も保っている。
けれど、今やその生徒の内の一人と恋仲にあった。私にとってドレーク先生は学校の先生であり、恋人でもある。といっても、彼は一向に私に手を出さなかった。おそらく卒業するまで一線は越えないつもりなのだろう。彼と付き合って半年。私は未だ処女だった。


「さっさと抱いてくれればいいのに」
「お前は、何てことを言うんだ」
「いいんです。将来はドレーク先生の情婦になるんだから」
「俺はお前をそんなものにするつもりはない」
「幼妻っていやらしい想像しちゃうよね」
「挑発しているつもりか」
「そうですけど」


幼い恋人の将来が思いやられると、ドレーク先生は顔を手で覆った。私は、その上に口づけた。


「だめだ」
「なんで?いじわる」
「何とでも言え」
「先生のロリコン、変態」
「何とでも。そんな男に惚れたお前が悪い」
「じゃあ責任とってください」
「そのつもりだが」


議論が進まない。私はむっとした。


「私、欲求不満だよ」
「そうらしいな」
「ドレーク先生、は?」


その膝に跨り、欲を孕んだ瞳で彼を覗き込んだ。私に触れても、何も思わないのだろうか。どんなに深く唇を重ねても、その心に劣情を焚きつけることは出来ないのだろうか。


「ははは……キスだけで濡れちゃった」


熱く潤ったそこをドレーク先生の下腹部に押し付けた。


「あっ」


硬い手応えを感じた。確かめようと私が指を伸ばすと、ドレーク先生の手がそれを阻んだ。
獣が息を殺すように、ドレーク先生は唸るような声で私を制した。


「お前は知らないんだ」
「俺が、どれほどお前を滅茶苦茶に抱いてしまいたいと思っているか」
「それがどれほど穏やかじゃない衝動か」
「どんなにお前に欲情しているかを、お前は…………!」


紡ぎ出される心の叫びを、私はこの口で塞いだ。頑なに結ばれた唇を割り開いて、逃れようとする舌を追いかけて、自らの欲望に脅えるその人をひたすらに愛でた。
彼を解放したときには、お互い息を上がらせており、交差する視線は欲に塗れていた。


「なまえ……俺は………」
「ぐちゃぐちゃにして、ドレーク」


掠れた言葉を耳に吹き込めば、獣は私の喉笛に喰らいつき、欲望のまま私の体を切り裂いた。


/欲情する子供

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