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「こりゃあ、確かにやりがいがあるな」

わしゃわしゃわしゃ

そんな効果音をたてて、私の頭は掻き回されていた。
感心したような呟きもふってきた。

わしゃわしゃわしゃ

続けられるその行為に、疲れきって熟睡していたnameも、さすがに目が覚めた。
一体誰だろうかと頭を動かせば、派手な色の衣装が目に飛び込んできた。

身近な者に、こんな服を着ているのは居ない。
じゃあ、知らない人がなぜ自分の頭を…?

「おう、そろそろ起きなお姫さん」

随分、奇天烈な服を着た(たぶん)男の人が、私の枕元で胡座をかいていた。

「マルコに、お姫さんの髪を切ってやるように言われてんだよ」

「私の髪を?」

「そうだ、まずはシャワーを浴びな、汚くてしょうがねえ」

癖ついて絡まってやがる、などと言って、その人は立ち上がった。
そういえば、昨日あまり髪を乾かさないまま眠っていたのだ。

「ほら、さっさとしねえか」

「は、はい」

どうしてこんなあたり方をされているのかわからないが、逆らうことができないので、言われるがままシャワーを浴びたのだった。


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