カモメが一声遠くで鳴いている。 今日のグランドラインは穏やかな表情だ。 その中を白鯨は、緩やかなに進んで行く。 その背はやけに騒がしく、罵声や何かがぶつかり合う音が響いている。 どうやら屈強な男達が戦闘訓練をしているようだ。 その中で檄を飛ばし、時には手を出して師事している男がひとり。 その男は特徴的な金色の髪を揺らしている。 しかしそんな彼のその後ろに、やつが迫っていた… 「マールーコーさん」 甲板に居る誰もがまたアイツか、と横目に流して何事もないように今までのことを続けた。 このnameという女がこうしてマルコにちょっかいを出すのがもはや日常で、特別なことでもないからだ。 今日も懲りずによくやるなあ、となんとなしに思う程度。 「……nameかよい」 「声だけで私だってわかるんですか?やだっ、愛を感じる!」 わざとらしく口に手をあてて驚く彼女に、今まで何度したかわからないため息をついた。 「今忙しいんだよい、あっち行ってろ」 シッシッ、と犬でも追い払うようにしてマルコは言った。 いつものことだけに、扱いがかなり雑なのだ。 しかしこの程度で懲りるはずもない彼女は、目を輝かせて口を開く。 「えー、何してるんですか、調教?」 「………見てわかんねえのかい?」 「調教なんですね!」 「お前、バカだろい」 冷たく一言。 表情をピクリとも変えずにマルコが言っても、変な根性を見せるnameは暴走を続ける。 「調教か………でもマルコさんはあまり参加していないな、じゃあここが私が………」 ブツブツと何かを呟いていたnameは、パッと顔を上げた。 「わかりました!そんなマルコさんを私が調教しますね!」 声高らかに言った彼女は、キラキラとはちきれんばかりの笑顔だ。 さすがにこの調教発言には、マルコも頬をヒクリと動かした。 「さあ!ナニから始めましょう!?」 そんなマルコの変化に気づきもせず、ペラペラとよく喋るname。 それを聞いてマルコはさらにわなわなと震え青筋を立てていった。 「縛りますか!?あれか!亀甲縛りか!うきゃあ!」 そしてnameの奇声でマルコがピタリと固まった。 「name、よい」 「はい、なんでしょうマルコさん!」 nameはよい子の手本のように、まっすぐに手をあげて返事をした。 しかし当のマルコは名前を呼んでも、俯いて返事をしない。 さすがに空気の読めない彼女でも、異変に気づいた。 「マルコさん?」 やはり返事はない。 不安になってきたnameは、見えないマルコの表情を覗こうとそろそろ近づいた。 二人の身長差は大分あるため、下から見上げる形になる。 「あの、マルコさん?お腹でも痛いんでぇえっ!?」 nameが最後まで言い切る前に、腰に腕を回されグイと引き寄せられた。 何が起こったのか把握できない彼女は目を白黒させるばかりだ。 抵抗などする余裕はない。 「………調教、だろい?」 無駄に艶を含んだ声が頭上から降ってきて、nameは硬直し一気に顔が火照るのを感じた。 マルコの顔など見ることはできず視線を泳がしながら、ようやっと彼の厚い胸板を押し返すがビクともしない。 「やってみろよい、ほら」 「あ、え、え?」 「できねぇのか?」 「んな!?」 まともに喋ることもできないnameを見てニヤリと不適に笑ったマルコは更に追い討ちをかける。 「なら、手本を見せてやるよい」 「うえ!?」 茹で蛸のようになったnameは挙動不審に暴れ始めるが、マルコの逞しい腕からはやはり逃れられない。 そしてとどめの一撃とばかりに耳元で囁いた。 「………部屋、行くか」 「んぎゃああああ!!!」」 いきなり叫んだnameは、一瞬緩んだ腕をすぽんと抜けて全力で逃げ出した。 そして甲板は一瞬、しんと静まり返り時が止まった。 「はあ…………おい、さっさと続きを始めろい」 そのマルコ一声で、また元通りに動き出すのだった。 また一声、遠くでカモメが鳴いた。 その後nameはどこへ逃げたのかというと… 「うぇ…だって、だってさ、マルコさんがさ…」 「まあまあ」 「いいや、今回は破廉恥すぎる!卑猥だ!卑猥な果実だ!」 「結局何もなかったんだから気にすることないんじゃないかな?nameちゃん♪」 「いやそうだけどそうなんだけど…………」 「(また手ぇ出せなかったのかマルコ)…ぶふっ」 「なんで笑うんだよー!」 「い、いや、nameちゃんのことじゃないよ」 「はあ?」 おわり(^q^) みー君、遅くなってごめんね! 撃沈した!← ← | → main |