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ふと、マルコは自分が甲板を歩いて居るところだと気づいた。
甲板の上は雪が積もっていて、一歩足を踏み出す度にギュッと雪が踏み固められる。


とても不思議な感覚だった。


右、左、と出す一歩一歩が以前にも経験したことがあるような気がするからだ。

「マルコー!」

これもまた、知っている。
前にもこのタイミングでサッチは自分のことを呼んだ。

「なんか肉になるもん狩ってきてくれねえか」

「またエースのバカが盗み食いでもしたのか?」

「ああ、しばらく静かだったから油断してよ…」

サッチがぶつぶつと食糧の保管方法をボヤいているのを後目に、マルコは全身に蒼い炎をまとった。

「じゃあ、偵察してくるよい」

ひとつ、大きく羽ばたくと体は宙に浮いた。
淀んだ雲に向かって進めば、すぐに船は小さくなっていく。

向かう先は、どうやら雪で覆われた島のようだ。
どれだけ飛んでいたのかはわからないが、あっという間に島の上空まで来ていた。

そこそこな大きさの集落と、他大半が森が鬱蒼としている静かな島だ。
ここなら海軍も居ないだろう。

上陸には問題なさそうだ。
島を見下ろしてしばらく飛んで、これ以上偵察は必要ないと判断する。

すると眼下の少し開けた土地に、茶色い獣が転がるようにして出てきた。

そういえば、サッチに肉を頼まれたのだ。

あれでは大分小さいが、無いよりはましかと思いそれ目掛けて体制を変える。

グンと重力に逆らわず落ちる体は、内蔵が浮く感覚を捉えていた。
急速に真っ白な雪面が近付いてくる。

物凄いスピードで落下しているはずなのに、一向にその獣が何なのかわからない。

思い出せない。

モヤモヤとした思考が、視界にも現れたように霞んでいく。

(あれは、一体…)









そして意識が浮上した。


「ゆめ、かよい…」

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