「精が出るねい」 「隊長さん…」 必死にびしょ濡れのシーツを取り込んでいた手を止めて、マルコが現れたことに目を丸くした。 「洗濯物は、乾いたかよい」 その彼の一言で、見開いた目一杯に涙を溜めた。 これで何度目かわからないほど、洗濯物を雨に濡らしてしまっているからだ。 当然、シーツはおろか船員の服も満足に乾かせていない。 nameは気まずくなって視線を落とすと、頭に柔らかな重みがかかった。 「手伝ってやるから、さっさとやれい」 どうやら、雨に濡れた頭をマルコに撫でられたようだ。 顔を上げると、彼はすでに洗濯物に手をかけている。 それを見てnameも慌てて取り込み始めた。 「あの、ごめんなさい」 ずっしりと重い洗濯物が入った籠を持ちながら、nameはマルコに謝った。 だいたい一番隊隊長にこんな雑用をやらせるなど、前代未聞なのだ。 あとでどんなお咎めを食らってもおかしくない。 自分のあまりに身をわきまえない行動が恐ろしくなり、身を縮こまらせた。 「それじゃ、あの、これ置きに行きます」 そそくさとと名前はその場を立ち去った。 …いや、立ち去ったはずだった。 しかし籠の重さに耐えきれずに、洗濯物を盛大にぶちまけて転んだ。 雨がバカにしたようにnameを叩きつける。 マルコの溜め息さえ雨にかき消された。 ← | → main |