しかし自分に対して緊張した様子でいるのは相変わらずだ。 そんなある日、甲板の様子を見に出た彼は洗濯物を干しているnameを見かけた。 それに姿は見えないがサッチの声もする。 マルコはそれを聞いてすぐ船内へ戻ろうとした。 ここのところサッチからの風当たりが強いので、あまり関わりたくないのだ。 「だからname、マルコはやめとけ」 しかしその言葉で船内へ向かっていた足をピタリと止めた。 盗み聞きは趣味ではないが、あからさまな自分に対する非難を聞かずにはいられない。 「あいつは星の数ほどの女を泣かせてきたんだぞ」 「だいぶ年が離れてますし、私そんな気は…」 「なに言ってんだ、お前に気あろうとなかろうと関係ねえ!それにマルコは老若男女問わず見境ねえぞ」 「まさかそんな…」 「いや、飢えた獣より質悪い生粋の女誑しだ」 「おい、そりゃ俺のことかい?」 こめかみにくっきりと青筋をつけたマルコは、二人の間に現れた。 「こいつの俺への態度は、お前の教育の賜物ってわけかよい、サッチ?」 「げっ、マルコ!」 「こいつの言うことは嘘だよい、わかったかい?」 「半分は事実だろ!」 「うるせえ黙れ」 「…(口調違う!)」 「わかったかよい」 「は、はい」 この時マルコの背に般若が見えたと、後に名前は語った。 ← | → main |