先程からずっと肘をついて目の前で口一杯にピラフを頬張る彼女を飽きずに眺めている。 「うまいかよい」 口がふさがっているので返事のかわりにコクコクと頷く。 そしてまたスプーンを動かそうとしたがそれを途中でやめた。 気にしないようにはしていたが、やはり視線が痛い。 こう見られていてはとても食べにくいのだ。 「どうしてそんなに見てるんですか?」 「食べ方がエースそっくりだと思ってよい」 「そうですか?」 自覚のないnameは首を傾げた。 だがしかし、頬についた米粒まで瓜二つなのだ。 ついそれを見ては笑ってしまう。 「nameにマルコ?珍しいな」 噂をすれば影。 ついさっき夕飯を済ませたはずのエースが食堂に現れた。 「まだ食いたりねえのかよい」 「さすがに俺でもまだ腹減らねーよ」 なんか飲みに来た、と言うエースは厨房のほうを見て目的を断念した。 先程サッチが暴れたせいで悲惨な状態だからだ。 「エース座る?」 「ああ、そうだな」 nameが隣の席をすすめ、それに腰を下ろした。 そしてマルコと名前のことを珍しいものでも見るように眺めて、口を開く。 「よくnameがマルコのことビビらなかったな」 マルコは十分ビビってんだろ、という言葉を飲み込み適当に返事をした。 なんとなく、答えたくなかったのだ。 エースが来て先程より安心した様子のnameを見て、眉間にシワが寄っている。 本人は気づいていないだろう。 夜は、刻々と更けゆくのだった。 ← | → main |