「おいエース、ふざけるのも大概にしろい」 「いってえ!!!」 「どう見たってただのタヌキだろうが」 額に青筋を入れたマルコが仁王立ちしている。どうやら、愛の名の下にエースへ一発お見舞いしたらしい。 尻尾を開放されたタヌキらしき動物は素早くエースの背後に回った。 「name!お前がいつまでもそんな格好でいるからだぞ」 「ご、ごめんなさい」 背後に隠れているタヌキが謝った。いや、性格には人型に戻った名前が謝った。 エースの後ろからこちらを覗くようにしている。 「あと、私タヌキじゃなくてアライグマです…すみません」 そしてまた何故か謝った。 タヌキが人間に化けたのかと目を見開いていたマルコだったが、この世界ではよく目にするあれだとすぐに理解した。 「…能力者か?」 「はい…クマクマの実です」 「じゃあ俺の部屋から逃げたタヌキはお前だったのかよい」 「…すみません」 マルコは疲れたようにため息を吐き、頭を抱えた。 どうりで今まで名前を見かけなかったわけだ。 疲れたような、スッキリしたようなそうでないような…よくわからない心境だった。 「え、俺なんで殴られたんだ?」 虚しい呟きは焚き火のはぜる音でかき消された。 ← | → main |