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「サッチさん、聞きたいことがあるんですが…」

食堂でコーヒーをすすりながら新聞を読むサッチに名前が話しかけた。

「なんだnameか、おやつの時間にはまだ早いぞ」

「そんなことじゃないです!」

ちょっとからかうとむくれてしまったnameを見て、サッチは出会ったときのことがふと頭に浮かんだ。
あの時もこうして食堂に居たのだ。
それが随分昔のことのようで、懐かしいと感じた。

「あのプルプル震えてたタヌキ娘が立派に反抗期か…」

「だからアライグマです!」

そう、nameはれっきとしたアライグマ、もっと言えば悪魔の実の能力者である。
クマクマの実、モデルアライグマでありタヌキなどではない。

「で、聞きたいことって?」

「ああそうだ、あの1番隊の隊長さんのことなんです」

「マルコ?」

はて、とサッチには疑問が浮かぶ。
nameが今までマルコに近づくことはおろか話題にだすことなどあっただろうかと。
その答えは、否。言わずもがな自分を食料として首根っこを掴んで連れてきた者に恐怖しているのだ。

「あの人って、ずっと怖いと思ってたんですけど、実は良い人なのかと思って」

実は良い人、という言葉がどこかひっかかるが相槌をうって続きを聞くと、帽子を届けてもらったのだとか。
若干頬を染めて話す名前は実に可愛らしい。
…が、同時に悪い予感をもたらした。

(まさかnameのやつマルコのこと…)

(いやいや、あいつに食われそうだったのにまさかな)

(………食われそうとかなんか卑猥!えっうそ!?)

(なんか嫌な予感しかしない!)

(ダメだ、nameをあんな面白頭のヤツなんかに渡さねえ!!)

「どうかしましたかサッチさん」

「えっ!?ああ、何でもねえよ…」

「それで、サッチさんはどう思いますか?」

「そりゃあれだ、マルコは危ないから近づかないほうがいい、うん、そうだ、そうしたほうがいい」

ガッシリと肩を掴み、切羽詰まったように言う彼にnameは首を縦にふることしかできなかった。

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