沢山悩んでやっぱりオレンジのテンガロンハットにした。前と同じだけど、前のやつはボロボロになっていたし、気に入っているみたいだったから。

明日はエースさんの誕生日で、そのためにわざわざ島に寄ってもらいエースさんに内緒でこれを買った。綺麗な箱に入れてもらって、包装紙で包みリボンをしてもらう。ようし、これでプレゼントは完成だ。

見つからないように船に持ち込んで。




花柄リボンを解く


「まさかバレてるなんて思ってねェだろうな」


大事そうに紙袋を抱え船に戻ってきた少女をみてエースは口端を上げた。
明日は自分の誕生日で、クルーたちが何か企んでいることを、エースは知っていた。勿論クルーの中には最愛の彼女も含まれている。
せっかくみんなが祝ってくれるなら知らないフリをしよう、と決め込みエースはどこか素っ気ないみんなに対し怒ったふりをしていた。

しかしこれ以上に嬉しいことなんてない。行く先々で計画を確認している声を聞くと自然と綻んでしまう。
ああ、なんて幸せものなんだ、と。


「なあ、エース隊長気付いてねェかな?」
「大丈夫だろ!こないだだって素っ気ないって怒ってたし」


キッチンでそう小声で話す奴らを見つけ背後から近寄るとエースはなんだ、なんだと詰め寄った。
しかし、


「エース隊長には言えません」


そう声を揃えて言う彼らにエースは笑いを堪えるのを必死になって我慢していた。



そして、夜は越し朝となる。
快晴に恵まれ暖かな日が甲板に降り注ぐ。そんな中沢山のクルーに引っ張られるように連れて来られたエースが中央に座ると大合唱が始まった。
下手くそな歌で、ハッピーバースデートゥエース、と歌いおめでとうと言葉を述べていく。
プレゼントなんて用意していない者ばかりだがエースは嬉しそうに笑った。


「ほら、行けよ」


そんな中一人の少女が背中を押されエースの前にやってきた。
みんながヒューヒューと口笛を鳴らすと、彼女はおずおずと紙袋を取り出した。


「あ、あの‥!大分ボロボロで焦げてるところもあるし、あ、えっとエースさんが気に入ってるみたいだったから、えっと‥誕生日おめでとうございます」


最後は消え入るような小ささで彼女はエースにそういった。
俯いた顔はほんのり赤く染まり、今にも逃げ出して終いそうなそんな勢いの彼女。


「ありがと。でも」


す、と近寄りエースは彼女の服のリボンを掴むとそっと引いた。はらりと解けていく、そのリボンに口づけて。


「あと、お前が貰えれば最高なんだけど」






――――――――――
プレゼントには貴方のお気に入りを






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -