喉を癒やすこのシャキシャキ食感!

[heroine side]

家にいてもジュードはお仕事。一人ではすることも限られていて自然と外へ足を運ぶことが多くなっていた。トリグラフの商業区で漆黒の翼の三人がアイスキャンディー屋さんの看板となっているとルドガーから訊いたこともあり、暇を持て余した私はそこへと向こう事にしたのだ。

「あ、ねーちゃん、いらっしゃーい!」

アイスキャンディーの売り子販売員である三人は初めてあったときよりも愛想をよく振り回している。それにお金にも多少の余裕があるのか皆少しおしゃれになっている様子。頭を撫でて、それから店主さんに頭を下げた。この子たちがまっとうな道を進めたのもルドガーあってのことだ。彼の、彼とユリウスさんの人脈があったからこうして働かせてもらえた。私には人脈というものが無いに近しいし、ジュードの人脈の行くさきの方々は子供は勉強するものだとほとんどの大人は門前払いだったのだ。

「アイスキャンディー買ってくだろ?」

「っていうかおねーちゃんはゼッタイ買わなきゃだめだよ!?」

「漆黒の翼のリーダーなんだからね、一本120円だよ?」

仕方ないなあと480円をだしてそのうちの一本だけを受け取った。勿論その意味はすぐに理解してくれたようで大好きのハグをされてしまうのだった。


「あら、ファルス。……と問題児1から3、仲がいいわねアンタたち」

「でたな、生意気ねーちゃん!」

「ミラちゃんだ!アイスキャンディー買ってよ!」

問題児という単語でへこむ少年を慰めて、ミラに挨拶する。トリグラフといえばルドガーの家。ということはミラもよく訪れるのだろう。思った通り彼女はエコバックを持参していた。

「今日の献立は?」

「ブウサギのソテーよ。安く手に入ったの」

え、どこの店と聞けばタイムサービス物だったらしく今からでは期待できなさそうだ。彼女は少女に120円を渡して一本頬張った。皆が次々に騒ぎ出す。私は480円で皆の分までかったのに対してミラが自分のものしか買わなかったからだろう。少年たちの言葉を適当にあしらっているあたり、漆黒の翼には入れなさそうだ。

「第一アンタたちはまかないでアイスキャンディー食べれるでしょうが」

「まかないでも食べれるけどおごってもらったほうがうれしいんだよ!」

なんでオトナってそこらへん分かってくれないかなーと腕を組んで首をかしげている。私は肘でミラをつっついた。あんまり無駄遣いてきないのよ、って借金生活を送っている辛い心情をリンクして通じてはいるが子供がこういう事を言うのだ。甘えた子供に手厳しくはできないでしょって眉を下げる。

「……わかったわよ、買えばいいんでしょ買えば」

チャリンと360円を追加で渡している姿を見て私は笑ってしまった。なんだかんだでミラは子供には甘い。エルに対してもやさしい。ルドガーに対してとは一変も良いところ。母性本能?みたいなものだろうか。

三人はやったやったと飛び跳ねて喜んでいた。
本日何本目かのアイスキャンディー。ミラの言うとおりまかないとしてアイスキャンディーが当たっていたとするならばお腹を壊さないか心配になってしまう。
そんな心配をよそにシャクっと音を立てて満足そうに咀嚼する少年たちは調子に乗ってこう言うのだった。


「ねえ、ふたりとも」



おかわりいかが?
(いい加減にしなさいと流石に止めに入ることにした)

2014.1/15


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