[貴方の事が本当に嫌 いな人からメッセージ来てます]
『ファルスへ
生きてますか。
突然ですが貴方の事嫌い
になったんです。
だって臭いし、
うんこやろう。
じゃあ、、、ね?
たけしより』
「たけしいいいいいいいっ!」
荒ぶるジュード降臨。GHSに向かって吼える姿は私としてはみたくなかった。バーチャル殺劇舞荒拳をしている。テーブルの上にGHSを置いて目の前にメールを送ったであろう[たけし]さんをイメージして秘奥義とは。
私はそのテーブルの上に置いてあった私のものを取り返して即刻メール削除した。
「ちょっとは冷静になりなよ、ジュード」
「何で!?どうしてそんな冷静でいられるわけ!」
「これってあれでしょ。ちまたで噂のチェンメ。いちいち気にしてられないじゃない」
「ファルスのメアドに送られている時点で許せないよ!」
まあ確かに迷惑な話。このメールを筆頭に出会い系サイトなどからのメールも送られてくるわ、大変です。
GHSなんて調べものするときとかにしかつかっていないのだけど一体どこでメアドが漏れてしまったのだろう。
そう、チェーンメールというものは普通、メアドを知るもの同士が送っていく連鎖システム。私みたいな知り合いの少ない人に送られてくることは多分ないのだ。だって私のことを知っているのはパーティーメンバーにバランさん、そしてイバル。
こんな子供みたいなメール送る奴なんて、
「………いやいやいや、まさかね」
一人居たわ。イバル。この世界のイバル。ジュードのことを敵視するあまり、似ている私まで巻き込まれた。私の居た世界とは違い、この人からメールが来ることは一ヶ月に一回あるかないかくらいなのだが。いやはや、ね?わざわざ自分のメアドを変えて私にチェンメだなんて子供みたいなことするはずがない。フラグだなんて思ってないよ?
ためしにイバルに同じ転送してメールを送ってみた。すぐに返ってくる、エラーの文字。十中八九の確率で確定だろう。
私はため息を漏らした。別にチェンメ自体を不快に思ったとかそういうわけでなくただメアドを変えたのなら教えてほしかった。あんなの一斉送信すればいいじゃないの。私に送らないってどういうことだ。
「ジュード、GHS貸して」
「……えっ?あ、うん」
はい、と手渡されたそれのアドレス帳を覗く。不謹慎?ごめん私の辞書にそんな言葉はないのです。イバルのメアド発見。
……やっぱりジュードにだって新しいメアドを教えているじゃない。
私にチェンメを送ったメアドがそこには登録されていた。
「そう、……イバルが悪いんだ?」
後ろを向けば冷たい目で口元が弧を描いているジュード。ぞぞっと粟立つ。私が怒られているわけじゃないのにこれだ。今すぐイバルは逃げてほしい。彼のGHSを押し返し距離をとって[たけし]さんに「死にたくなかったら今すぐ逃げて。油断していると殺劇舞荒拳が降ってきますよ」そう送ることしかできなかった。
「ファルスは家で待っててね。……すぐ終わらせてくるから」
マジ顔で出て行く五秒前
(数時間後、私のGHSに[たけし]さんの生存確認メールが届いてきた。よかったよかった)
2013.10/21
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