九割合流

[jude side]

僕たちがル・ロンドに到着したのファルスにチケットを見せつけられてから半日経った頃だった。もともとル・ロンドは島国。はっきり言って田舎だ。そのため便が少ないのである。

「ここがル・ロンド?」

なんにもないねー、おだやかでいいかんじ!といいながら街並みを興味津々というようにさっさと先へ進んでいく。ルドガーは朝からろくにしゃべろうとしない僕が気がかりなのかちょくちょく話しかけてくれていた。
船内でミラさんが「ジュードのところにいるのが辛くなったんじゃない?」と言ったのが未だ重くのしかかっている状況。

僕の住む家は言うなれば彼女の世界での彼女の家なのだ。
最初の頃はそれを理解した上での会話だらけだったけれどいつの間にかそのことすらも忘れていた。いや、許してくれたと思っていた。ミラさんが最初のときに敵意むきだしだったのに今やルドガーの隣にいるように。
思えばファルスは不満を漏らすことがあまりない。手の内をみせてくれない、そんな人だった。

(でも、なんでアルヴィンやエリーゼと?)

考えて考えて堂々巡って考えるのを止めた。
ここは僕の実家がある。以前の分史世界でのことを思い出してGHSをにぎった。結局父さんに連絡していない。なんて話を繰り出せばいいのかわからなくて。のばしてのばして気づけば今だ。

「あー!ルドガー、みんないるよ!」

指さす先はロランド。宿屋の中には確かに皆が大集合していた。
僕たちはエルについて行くようにロランドの中へと入る。皆が僕たちをみて各々の表情をする。

「ジュード!どうしてここに?」

レイアが嬉しそうに声を上げた。が、僕としてはそれに返答をしているどころではない。ファルスがいない。彼女のことを知っているであろう二人を交互に見た。エリーゼはエルとの再会に花を咲かせていてこちらには気づいていない、いや気づかないふりをしている。一生懸命こっちをみないようにしていた。
対する目のあってしまったアルヴィンは困ったように目をそらしてしまう。僕が口を開くのを遮るようにローエンが椅子から立ち上がってこういいだした。

「ジュードさん、それに皆さん。ファルスさん捜しに手伝ってはもらえないでしょうか」

この数時間前にあった出来事を話し出す。
この辺りにギガントモンスターがでること。子供に財布をすられた彼女があっという間に皆の元から消えてしまったこと。町の中は勿論、近辺も捜してみたけど手がかりがないということ。

「結構遠くへ行ってしまったかもしれない…というわけか」

「まあ、ファルスのことだから大丈夫だとは思うんだけど」

「帰りが遅いのは気になるわよね〜」

ルドガーの言葉にレイアとミュゼは頷いてそう言う。
この島が広いとは言い難い。ましてはファルスの脚力、瞬発力、トータルをあわせても並みの子供を捕まえるなんて簡単なことだろう。数時間かかっても帰ってこないなんて、

「案外、その子供と遊んでいるのかもしれないがな」

「あ、それありえるかも!エルも遊ぼうっていわれたらなかなかことわれないし!」

王さま意外とファルスのことしってるんだね!とうんうん頷いて感心している様子を見せた。ガイアスはちらりとこっちをみて「お人好しな奴を知っているだけだ」と返していた。

確かに彼女の正確なら頼まれれば無理にここへ帰ろうとしないかもしれない。でもギガントモンスターがでるって場所で留まるなんて危険すぎる。ましてや戦えるのはファルスただ一人なんだ。

「正直、ファルスは無理しすぎるところがありますよね」

「生傷の絶えない女っつーのかね。そこんとこさっぱりジュードとは似つかねえな」

小さな旅を共にした二人はぽつりとそう呟いた。
こんなにも心配されていることを彼女はきっと知ろうとしないのだ。上辺だけの言葉だと受け止めてしまうのだ。
もっと頼ってほしいのに。仲間で、家族なのに。
ため息を一つ。場を取り持つようにミラさんがパンパンと手を鳴らした。


「とりあえず手分けしてあの子を捜しましょ」


捜索隊出動
(こんなにも会いたいと思っているんだけどなかなか会えない)

2013.12/18


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