ふーあーゆー?

[heroine side]

深度175。偏差0.78。進入点ディール。
初めての感覚だった。私の世界とは違う、本当の世界とも違う、他人の…偽物の世界。
晴れ晴れしていた景色が怪しげに曇っている。今にも降り出しそうな天気の中、私たちは時空の因子の情報を探りだした。

現在分子世界にいるのはルドガー、エル、ミラとエリーゼにレイアと私。完全ルドガーがハレームの状態である。
先程のノヴァの件は男性陣がなんとかしてくれるだろう。その後に分子世界の存在を発見できたらしく私も流れでついてきてしまったとだった。

遺跡の話題を拾うことができた。皆と合流してもやっぱり遺跡の話題が目立っていたようで。正史世界では崩れて調べることの困難な遺跡、この世界では崩れることなく中を調べることができるらしい。
私たちはとりあえずその遺跡を目指すことにした。

「にしてもルドガーってエージェントだったんだね。そういや私ルドガーのことぜんぜん知らないかも」

クランスピア社が管理しているらしいその遺跡はエージェントしか入れない、らしい。一体どんな機密があるのだろう。中を調べてみたかった私としては本当にルドガー様々である。
そんなルドガーのことを知りたいと思った私は皆に訊いてみることにした。

「ルドガーはエルのア・イ・ボ・ウ!いくらファルスでもこのザはゆずらないんだからね!」

成る程、ルドガーとエルの関係性は家族ではなく相棒なのだそうだ。真剣に話すエルの頭を撫でて「とらないから安心して」と笑う。
その光景をみたミラが「あなたってエルに甘いわよね…」と呆れた。
そんなミラからみたルドガーはどうなのだろう。

「……ルドガー?あ、あいつはムカつく奴よ!ほんとムカつく!」

……?意味が分からない。顔を赤らめているあたり何かあったのだと思う。女性がこういうときに頬を染めるのはきっと不可抗力でもちょっとした恥ずかしいハプニングが起きたのだと思うのだけれど。馬鹿!と罵倒して早歩きで先頭を歩き出した。なんだかとばっちりを受けてしまった気分。
今度ルドガー本人から訊きだしてみようか。

「ルドガーについて、ですか?」

「ルドガーは多額の借金背負ってるって訊いたことがあるよー」

「しゃ、借金?」

あんな誠実そうに見える人が借金とな。詳しい話はエリーゼもティポも知らないようだが何やら悪徳医療の罠にはまったのだとか。ジュードくんが居るのだからジュードくんに治してもらえばよかったのに。あの人ならきっと料金なんてとらないだろう、お人好しだし。
あ、ジュードくんに会う前、とかなのかな。なら家族関係?父親が背負ってしまった負債を流れるようにルドガーに背負わされる運命になったとか。

「うわ、ルドガー可哀想」

まあ勝手な妄想だが。
どうあれルドガーが報われるのはいつ頃になるのだろう。エリーゼと可哀想を言い合えばエルが「どうしてルドガーがかわいそうなの?」と話に入ってきた。よし、この場はエリーゼに任せよう。
エリーゼがあわあわとエルの対応している中、私はレイアからも情報を入れようと話しかけた。

「ルドガー?ルドガーにはユリウスっていうお兄さんがいるよ」

「ご兄弟が?ルドガーってしっかりした弟なのね」

弟、いや妹もそうだが大抵下の子っていうものは我が儘だと書かれていたが、ルドガーはどうやらそういった類から外れているらしい。育て方がよかったのかもね。なんて年下の私が言う権利なんて無いし、成る程ね…とレイアと頷きあった。


えっと、ここで皆から得た情報をまとめると。
ルドガーはエルの相棒で何かしらの借金を背負わされた運命、そしてお兄さんがいる、と。…その借金のことお兄さんは知っているのだろうか。ああ、忘れていた。ムカつく奴なんだっけ。

「ルドガー」

「……どうした?」

「ルドガーがムカつくってミラに言われてるけどなんかムカつかせるようなことしたの?」

考えるように頭を傾げる。どうやら身に覚えはないみたいだ。
例えば〜としての例を挙げてみよう。つい手が滑ってミラを押し倒しちゃったりだとか、助けようとしてミラの胸を触ってしまった、だとか。そう言えばルドガーの顔が強ばった。ああ…やっぱりそういう理由なのか。そしてルドガーは顔を真っ赤にして先頭を歩くミラの先を行って魔物と戯れていた。

ウプサーラ湖はもう目の前である。



「ルドガーもミラもはりきっちゃってるね!にたものどーし!」



事前に打ち合わせはしてないそうで
(ハモった二人の言葉)

2013.9/17


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