フラグはつきもの

[heroine side]

カラハ・シャールは相変わらずにぎやかだ。
店先にはたくさんのお客さん、旅人も多く私たちはその中をわって進む。

「そういえば皆はどうやってここへ?」

いきなりここは分史世界だとか小難しい言葉の羅列を発したりといろんな事に巻き込まれていた私にとって重要なことを訊きそびれていたことを思いだす。
ルドガーは骸殻という能力の話を説明してくれる。そしていきなり槍を取り出した。どこかに閉まっていたとかではなく本当に突然取り出した。
前に読んだとある文献を思いだす。コンタミネーション…だっただろうか。とある国の大佐が用いた武器を同化させておくと言われている…素人には非常に危険だと言われている技術だったはずなのに……!

「ルドガー、キミは味方だと思ってた……!」

「ええっ!?」

「ファルスすっごくルドガーをにらんでる!どうして?」

私でもできなかったそれを呆気なく見せられて怨まないわけがないだろう。ルドガーはあわてて槍を消した。すごい、どうなっているのだろう。どういった技術なのだろう。

「ルドガー、死ぬ前に一度だけキミの体を解剖させてくれないかな!」

「んなぁっ!?」

「ファルスすっごくルドガー好きっぽい!よかったね、ルドガー!」

良くないだろ。私以外のその場の一体感といったら本当、無かった。


話は聞いた。
その骸殻という力を使ってこの世界に来て時歪の因子を壊すのが目的。私がいる世界があふれてしまったら駄目らしいし、そもそも一旦違う世界にいったら時歪の因子を壊すしか出口がないんだったよね。
そして、

「同じ世界に二人は存在しない……だったっけ?」

「多分ね。実際わたしのとこに連絡来たんだし?」

「これまでに数回、分史世界へ行ったけど本人同士が顔を合わせることはなかった」

数回…頼りになる数字とはいかなかったけれどレイアのGHSに連絡がいったのだからきっとそう。そうなのだと思う。こういう風に胸が重くなるのはきっと自分の死が怖いからなのだと思う。でもさ、こういうのってフラグなんだよね。
杞憂でなければいいのだけど。


「そうだ、こっちの世界じゃエージェントはいないの?」

レイアの質問に困ってしまった。正直、分からないのだ。寝る間を惜しんで研究、研究、また研究。皆と会う暇も作れない毎日、研究課題は一回の閃きによって追加されていくわけだし。そんなわけで昨日私の知るレイアに会えたのも本当に偶然で積もる話も愚痴も聞いてもらえると思っていたのだけど、こういうことがあってできなくなる始末。
なんだか私って運がないのかなあ。

「クランスピア社はあるけど、エージェントに関しては何にも。もともと研究以外のワードを頭に入れないようにしてるのよ」

「……どうしてですか?」

「なるほど、新たに研究したくなるからですね。人の欲求とは計り知れないものですよ、ほっほっほ」

その通りすぎて何もいえない。
私はもともと好奇心旺盛なほうだから世の中のことを頭に入れていく度にあれをそうしたらとかこうしたらとか考えてしまうのだ。
皆はそんな私を理解してくれていたから無理やり研究から引き派がしたりはしなかったしいつもそっと見守ってくれていたから安心して取り組めた。

これも全て世界中の皆の喜びに満ちた笑顔を見るため。
なんてちょっと大人ぶってみる。

「いや、だけど少しくらい息抜きした方がいいだろ」

「あー…それよく言われるんだよね。たまには外の世界を知りなさいって。これでも一応色々な部品の取引相手とかとの交渉の際は外にでているつもりなんだけど」

「ちょっとアナタ、おしゃれとかはしなかったの?普通年頃になったらするんでしょ」

「いやーご覧の通り。女子力なさすぎ!ってなんか貰うんだけど使い道もわからなくてね。誰かに訊こうにも…その、恥ずかしいじゃない?」

わかったのはローエンからもらったピンくらいだ。エリーゼから貰ったティポだと思われるヌイグルミがプリントされたベストは私の体を労ってくれたからだろうし、その他諸々…香水?とかどれくらいつければいいのか分からないじゃない?臭いがキツいだなんて言われれば心傷つくも良いところだよ。アイロンやらコテやら幾つかの黒匣商品を渡されたが美容師でもないのにどう扱えと。



「訊きたいことは山ほどあるよ、でも訊いたらちょっと乗り遅れてる人みたいでしょ?」



研究以外興味なし!
(ジュードだって色気付いてきたのに……!)

2013.8/26


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