「はぁ…、まだ送るの?」
カチカチとメールを作成すること何十通。そろそろオレの手首も疲れが見えはじめ、スローペースとなっていく。
「まだだ。名無しが俺にメールか電話してくるまでやってくれ」
「ええー……」
そう。今日、ガゼルこと凉野風介のお気に入り、名無しちゃんとお話をしてみた。まあ、全ては後ろで自分の携帯を握りしめながら今か今かと連絡を待ち構えている風介の策略とも言えるんだけども。
風介の考えはこうだ。
俺が執拗に知り合ったばかりの彼女にメールを送り続けたら、彼女は怖くなって風介に連絡をするだろう。と。
嫌われ役になるのは別に構わないけど、それでうまくいかなかったらいったい風介はどんな行動をとるんだろう。
だいたい、彼女が風介のことを一番に考えているんだとしたらこんなまどろっこしいことしないで告白すればいいのに。
あ、そっか。
風介はシャイだから告白できないんだね。自然と恋人になっていました的なおさまり方が好きなんだね。
そんなことを思いながらまたメールを送ろうとした。が、他のメールを受信してしまい送信ができなかった。
「あ」
「どうした?」
「ねぇ、もし名無しがメールを何度も受信していて風介にメールを送れないんだとしたらどうする?」
「…………」
彼の顔を見れば、やっちまった。とでも言いたげに顔を隠した。
ルーメのしなりきっひ
(遅いからこっちから連絡をする!)(はぁ…早くしてよねー)
計画的な彼氏さんと手助けをする赤毛の少年
2011. 5.12
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