本日……木曜日。午後7時頃、私はいつものように部室の鍵をかけるという役目になっていた。
『マネージャーになったはいいけど全然役にはたっていないんだもん。これぐらいは文句言えないよね』
中に誰もいないか確認。とはいえ、真っ暗だから何もみえない。せめて、電気でも付けようと壁伝いに探していけば何か、柔らかいものに触れてしまった。
『なっ……、なに…!?』
暗闇の中、柔らかい部室にあるとは思えない何かに触れてしまえば怯えてしまうのは当たり前の行動だと思う。ピクン、なんだか分からないものが動き、私の手首をとらえる。
『いやっ、離して!』
グイッ。そこまで強く引っ張ってないのに抵抗をしなかったのか何かが私の上に乗ってしまう。
何か、ではない。
─────誰か、だ。
触って、触られて、誰かなのかまでは分からなかったが今、私の上に乗っかっているのは人だ。それだけは分かった。
『だ、誰!?名前くらい名のってよ!』
声をあらげ、じたばたするとその人は動かせないように身体を密着させ、耳元でこう囁いた。
「名前を名乗れば……何したっていいのかよ」
『その声……、まさかはんぅっ!』
頬を両手で固定させ唇を奪われる。はじめてだったのに、イヤって思うことはなかったけど。
『んん、うっ……ふぁっんぅ!』
口を開こうとすればするほど舌を絡める。息ができなくなり、私と彼、………多分半田君と思われる人との計、二つ分の唾液が交わった。
交わって何分、何秒が経ったんだろう。次第に私もこの行為に夢中になってしまった。
「俺さ…、ずっと名無しの事が好きだった」
『半田君……』
暗闇の中の告白
(………で…ど、どうなんだよ?)(なにが?)(答えに決まってんだろ!)(ああ、……えっと、好き、です)
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