サポスキの疑問


「お腹すいたな…、街までまだ距離あるしお菓子休憩でもとろうか」

『スレイ、僕が作ってくるよ』

「ありがと」

導師殿は明後日の方向へ向いてお礼を言った。きっと天族の方と会話しているのだろうけど。私には見えないので不思議な光景。姫様も天族の方を見えるようになってからは普通に会話に参加しているけど私としては二人が息のあっていない会話してるようにしか見えない。
二人が腰をおろしたので私もその場で座り込む。深い息を吐きながら平常心を取り戻そうと空を見上げた。

『べろべろばあー』

空は青い。涼しい風が私の髪をなでた。顔が痒くなったので顔をかいていると導師殿と姫様はくすくすと笑っていた。首を傾げて二人を見る。私をみても笑えるような要素ひとつも思いつかないのだけれど。どうかしましたと聞いても首を横に降るだけなのでなかったことにした。そのあとに導師殿が「ライラ」と人の顔をみて手招きをするので天族の「ライラ」殿が私の側でなにかをしていたのだと理解する。

『………やはり彼女も霊応力はお持ちかと。それも…、』

正直付き合いきれない。不気味で仕方がない。天族なんて見えないのだから当然な反応だろう。正直姫様が導師殿がたぶらかしているようにしかみえないのだもの。

『できたよ』

「おっ、ミクリオがお菓子作ってくれたって」

天族の声が聞こえない私に説明をしてくださる導師殿。そういうことをするから悪い人と断言することができかねる。パッ、とまるでマジックのように導師殿の手からマンゴーソルベが出現した。その光景に一歩後退りする私を悪く思わないでほしい。

「ほら、名無し」

「あ…りがとうございます……」

正直食べる気がおきない。得たいの知れない人物からもらったものなど。天族の方との味覚が違うかもしれないし、そもそも毒が入っている可能性も。受け取った皿を凝視する。見た目は変鉄もないマンゴーソルベだ。可愛く盛り付けられ、女子にも好感がもてるだろう。

「食べないのか?」

姫様はパクパクと食べる手を止めない。きっと見えているからだろう。安心しきっている彼女をみて、私もそれを口に含んだ。程よい甘味が冷たさと共に喉を通っていくのがわかる。

「……おいしい、」

『………!』

一口、また一口。喉を通すたびに身体の中から癒されていく。あっという間に完食してしまった。口元についたものを雑に拭ってどこにいるかわからないので適当にお礼を言う。

「ありがとうございます、ミクリオ様」

『……べ、別にお礼をいわれるほどのことしてないんだけどね』

みたこともない人にお礼を言うなんてこの人生のなかでもあり得ない体験なのだけど。導師殿はくすくす笑って「ここにいるよ」と身体全体を使って教えてくれた。見える気配はない。導師殿にお願いしてミクリオ様の頭に手をおいてもらった。それで大体の位置を予想する。

目が合うことはないだろうけども、確実にわたしの言葉を聞き届けてくれる、と思う。導師殿が姫様と共に私に嘘をついている可能性もあるのかもしれないが、言うだけ言って私の何かが減るわけでもないし。

「ありがとうございます、ミクリオ様」

『だから、別に…』

一礼し、顔を上げたとき、確かに見えた導師殿ではない水色を主張とした誰かの姿。パチリと目が合い、瞬きを数回したら消えてしまったけれど。

『「………えっ」』

どうしようもない気持ちにテンパる頭。そしてなぜか第三者の声が聞こえるようになった。見えないけれど、そこにいる。ちょっと待って、それなんてホラー。



とある休憩時間に
(今、僕のこと見えた……!?)(…なんか声が聞こえるようになったんですけど)(やはり霊応力の高い方のようですのね〜)(…なんか女性の声も聞こえるようになったんですけど!)

※このあと無事に姿も見えるようになりましたとさ

2015.1/28


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