ストラタ砂漠。ジリジリと照りつける日差しにくらりくらりとしてしまう。それは勿論私だけじゃなく皆も一緒……いや、ヒューバートだけは涼しそうだったけど。
『ヒューバート、なに、アンタだけ涼しそうな顔してんの』
「それはきっと、気候に慣れたんでしょうね」
汗一つかく様子をみせないヒューバートにいらいらしていまうのは暑さのせいなのだろうか。汗で気持ち悪い感触になっている赤い髪を適当に掻き払い、薄い生地で作られているこれまた真っ赤な服でバサバサと無造作に仰ぐ。
「なっ、貴女も少しは女だと言うことを自覚してください!」
『はぁ?』
汗こそは出ていないが顔が真っ赤なヒューバートにムカついてしまう。だって私は汗さえ出なけりゃそれでいいんだもん。
パッと服や髪から手を離し、拳を握りしめてしまうその時、ヒューバートはそうだ、と静かにこう言った。
「貴女も少しは涼しい色合いの服を着てみてはどうですか?赤ばかりを主張しているから余計に暑くなってしまうんですよ」
『は……赤?』
自分の格好を見ると確かに赤い。髪の毛の色に合わせて赤くしてしまう……つい、いつもの癖で赤を主張していたようだ。
『赤いってのは分かった。確かに認める。だけど余計に暑くなる理由がよく分かんないんだけど』
「よくいうじゃないですか。夏などの暑い時期、暑い場所では涼しくみえる青などを見れば少しは暑さを柔げられると」
『赤は?』
「夏か冬……。どちらかと言うと冬ですね」
『そういうもん?』
「そう言うものです」
じゃあフェンデルの方へ行ったら多少は寒さを柔げられるんだろうな。まぁ、生地が薄いから寒いもんは寒いんだろうけど。
『じゃあ私もストラタ軍に入ろっかなぁ…』
「はい、それがいi……はぁ!?」
『だって入ったら軍服くれるでしょ、しかもタダで!』
ブイサインを見せつけると、はぁ……と眉間にシワを寄せてため息を吐いている姿が目に入った。
何か変なことでも言っただろうか。言ってないと思うけど。
「勝手に皆のガルドをちょろまかしている人に言われたくないセリフですね」
そのお金を何に使っているのか知りませんが、そのお金で服を買えばいいでしょうに。そう言いながら彼は足を速めた。
いつの間にか、皆との差が開いてしまい、このままでは追い付けなくなるからと思ったのだろうか。
それにしても………、
『何で、勝手に盗ってることアンタが知ってんのよ!』
残りのありったけの力を振り絞ってヒューバートの後を追いかけた。
青い服を来ていたら貴方みたいになれるだろうか
(で、なんで知ってるの?)(僕が帳簿にまとめているからですよ)(……え、)(貴女が今までに盗った金額は16万9580ガルドですね)(…………、ごめんなさい)
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