新しい朝が来た

日曜日。ピンポンピンポンと朝っぱらから鳴り響くインターホンのおかげで目を覚ましました。勿論嫌がらせをしている本人はニカッと笑ってリビングに居座っていて。いくら幼馴染みだからって許されると思っているのか。というかなんで私の家を知っているかが疑問点。私の家族と和気あいあいなかんじに談笑していた守くんに聞けば「鬼道ん家に寄ったときに教えてくれた」と言った。鬼道は時に敵だと思い知らされる。

「名無し、早くしろよな。早くしないとみんな雷門中に集まっちゃうからさ」

『わたしは後から行くよ。サッカー部でもないのにバスに乗るわけにはいかないし』

「いいから準備してこいって!」

そう言って背中を押された。これはうだうだ文句を言ってる場合じゃないらしい。いや、決して守くんが「せっかく迎えに来てやったのに無駄足とかとらせんじゃねーよ」的なことを言ったからじゃないよ。そんなかんじの副音声は頭に響いたけど。



『ごめん、おまたせ!』

「おそい」

だから謝ったのに!先に行っててって念押しだってしたのに!そう怒鳴りたかったけれど相手はあの円堂守。何倍返しと返すに違いない。結局痛い目にあうのは私だけなのだ。

着替えた私は守くんと一緒に学校へと向かう。なんで休日なのに学校へと向かわなければならないのだろう。応援するなら木戸川清修に直行すれば良いだけなのに。というよりこんな朝早くから出向かうことだってなかったはずなのに。

「拗ねんなよ」

拗ねると言うよりは怒りを通り越しているだけだ。いつもの学校への通学路。少しだけ遠いこの道のりが今日は物凄く長い道のりに感じる。隣の彼は頭の上で手を組んで飄々とした顔で歩いていた。

『拗ねてないよ』

答えを返して守くんとは反対の方向に視線をやる。塀の上に寝転がっている虎猫の暢気な顔色が無性にムカついた。あーあ…雷門なんかに来なけりゃよかった。


「名無し」

名前を呼ばれ、振り向けば腕を取られた。手と手を絡めて歩く私達。汗ばむ手のひらが守くんにも伝わるんじゃないか、なんてハラハラしてしまう。


「べとべとしてる」

『悪かったわね』

暴言を吐く=私達のコミュニケーションです。

『守くんも汗ばんでるっしょ』

「気のせいじゃね?」

2013.1/11


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