逃走者Gあたりでいいです

あなたは千枝とハンターを放出してしまい、残り18分でハンターの尚紀に見つかる。最後は悠にそそのかされ自首。 #P4tosochu http://shindanmaker.com/265824



八十神高校イベントの一つでもある某番組を模した[逃走中]。というかタイトルまんまなんだけれども。クラスの代表が[逃走者]と[ハンター]のどちらかを決めるクジを引いて役割を決めるものであったり、それまたクラスの代表が対戦相手を決めるクジを引くものというクラスの代表が面倒くさいことこの上ないイベントなのである。
番組と違う点といえば[逃走者]は分ごとに得られるお金の桁が違い[ハンター]は逃走者を捕まえた分だけ賞金が割り当てられている。そしてその獲得した賞金が文化祭の出し物に当てられるということである。つまりこのイベントで高評価を得られなければろくな出し物もできないというわけだ。教師側にしてはどうでもいい話だが生徒としては何としてもいい思い出をつくりたい、と思っているんじゃないだろうか。
私?私は別にどうでもいい。


そう、どうでもいいなんて思っていたから大変な目にあった。
見事[逃走者]となった私のクラスは開始から13分が経過した頃、初めてのミッションが与えられた。自分のジャージの左ポケットに入れてある赤いカードキーをもう一種類の青いカードキーを所持している誰かと手を組んで南校舎の裏の大木前に設置してある装置に10分以内にいれなければハンターが一人放出されてしまうんだとか。

勿論参加しなくてもいい。五組のメンバーが装置の解除に向かえばいい話なのだ。つまりは10人が力を合わせればいい。早速連絡が入った。鳴上くんが解除したらしい、彼は恐いものなしなのか。その三分後花村くんや天城さんの活躍のおかげで順調に解除されていた。

「あ、君!」

声の主は里中さん。そういえばこういうミッションに参加すると践んでいた彼女の名前が報告された履歴はなかった。彼女の右手に握られた私と対称のカード。もしかして……、

「お願い!私と一緒に装置つきあってくれない?」

四つ目の装置の解除成功したという連絡とともに私は困り果ててしまった。 今現在ハンターの数は二名。だけどその装置を解除しなければハンターが一体、しかもそのハンターは結構な噂で持ちきりの巽完二なのだ。絶対足早い。そんな気がする。うんうん悩んでいる最中、里中さんに連絡が入った。

「はいもしもし…あ、雪子?あー最後の解除今から私とこの子の力あわせて解除してくるからまっかせといて!うん…、うん…じゃーね!」



ちょっと待て。


『私手伝うなんて一言もいってません』

それどころか残り時間はたったの二分なのだ。運動神経抜群の(ようにみえる)里中さんとは違うのだ。手伝ってと言われれば言われるほど手伝いたくなくなるのは私がまだまだ子供っぽいからだろうか。とにかく残念ながら今は手伝う気なんてさらさらない。踵を返そうとした私の体をとめたのは里中さんが私の腕をとったから。そしてそのまま目的地の装置の前まで走り出したのだ。私は引っ張られるがままついて行くしかない。強情な女だ。私が思う里中さんの印象が変わった瞬間である。



装置の前まで着いた。だけど問題が起きてしまった。どうやら里中さんが所持していたはずのカードを紛失してしまったらしい。ないないないとあわてて体の至る所を探す彼女に冷めた目で返す。あと一分を切った。もう装置の解除は無理だろう。私に連絡がはいる。珍しい、誰だろう。

「あ、装置どうなった!?つーか里中どうした、連絡つかねーんだけど!」

花村くんでした。ゲームの最中だと私のような奴にも連絡がくるようです。いつまで経っても解除成功の連絡が入らないので痺れを切らして連絡してきたのだという。勝つためにはやっぱり気になってしまったのだろう。それほどまでに巽くんは強大なのかもしれない。前のテレビでみた巽くんは恐いという印象しか浮かばなかった。でもミス!?コンには出るのだとか。意味が分からない。

『里中さんがカードを無くしてしまったので探している最中です』


「何やってんだよお前ら!」


私もなのか。やれやれ何故か連帯責任のようだ。ギャーギャーと聞こえる通話先の彼の声を無視し、私は時間を確認した。あ、あと10秒もない。可能性の低いだろうがとりあえず里中さんに私のカードを託す。
さて、私は逃げるとしますか。

連絡が入る。それは解除失敗の報告、そしてハンター巽完二が放出されてしまったということを報せるものであった。




残りも後少し。運動神経が良いとは言えない私にとってこれは快挙なことだがそろそろ体力の限界もいいところだったり。クラスメートがおいつめられていく連絡しか入らない。さて、残すところもあと18分だ。

「………っ、みつけた…………!」

早速後方にハンター出現。たしか彼の名前は小西尚紀。その細い見た目から足はあまり速くないようにみられる。とはいえ私の体力が限界なのも事実。ここで大人しく捕まったほうが楽であることは確実である。足は勝手に小西くんに背中を向けているのだが。
とりあえず体育館倉庫の周りをぐるぐるしながら隙あらば校舎のほうへと戻ろう。助かったことに体育館倉庫の周りは整備されていない古びた機材が沢山ある。うまく撒けることに期待しよう。

「こっちだ」

鳴上くんだ。一瞬ハンターかと思って逃げ腰になってしまった、恥ずかしい。どうやら彼は機材と機材の間の隙間に入り込んでいたのだとか。教えてくれた隙間にお邪魔すること数分が経つともう足跡が聞こえてくることはなくなった。申し訳なくお礼を言えば気にしなくて良いとのこと。

「それより、残りの時間も僅かだが残っているクラスメートももう一桁だ」

『巽くんがガンガン捕まえているんでしたっけ。このままじゃ学祭危ういですね』

私にとっちゃどうでもいい話なんだけども。他人事のような内容をつらつらと喋る。鳴上くんにとってただのクラスメートである私の心情なんて分かるはずもないだろう。むしろ自分自身もわかっていない。自分がどうしてここまでハンターから逃げ回っていたのか、とか。いや、まあ確かに私にだって多少ハンターに捕まりたくないというゲーム心みたいなものは持っているわけで。別に文化祭を楽しみにしているわけではないと思うのだけど。

「そこで、だ。すまないが、自首してくれないか?」

『は?』

自首?私が?首を傾げて問えば彼の言葉には続きがあった。彼にとっての頼みの綱だった花村くんはとうの昔に持ち前の運の無さによって捕らえられてしまったらしい。そう言われてみれば確かにそんな連絡が入っていた。このエリアの中のハンターの数は五体にのぼる。一桁の我がクラスの逃亡者たちが囲まれる可能性も低くはない。だから最低限の学祭の費用確保のために私を使うのだろう。何とも賢い男。

『ご自分でなさったらどうなんです?』

ここまで逃げ切れたのだから最後まで生き残ってみたい。そう思うのは多分私だけじゃないとは思うけれど。それでも鳴上くんが私に自首をすすめる理由を理解することができなかった。鳴上くんは俺は主人公だから最後まで生き抜かなきゃいけない、だのと御託を並べる。いや、主人公説どっから出てきましたか。やっぱり彼は転入初日から変わっている。ちょっとの域は完全に超えて。

「主人公を護るためにも自首してくれないか相棒!って言う話なんだけど」

『私、あなたの相棒になったつもりないです。でも分かりました。自首してきます』

これ以上不思議系男子と話なんかしていられない。さっさと自首して帰ろう。クラスの出し物の足しになるなら貢献もできると言ったところだろうし。何もかもが丸くおさまる。完璧。
変な鳴上くんからそそくさと離れて電話ボックスの中で電話をかけた。私のゲームはここで終わった。



檻の中で花村くんが怒る。言わずもがな檻の外の私に対してである。なんで自首したんだよって檻の中で暴れている。そのせいで他のクラスメートが迷惑そう。私には関係ないけど。言わないが、主人公のせいだ。主人公が私に自首をそそのかしたのだ。私は悪くないといいたい。まだ怒りはおさまらない花村くん。
もう、どうでもいい。


「あ、」

『ん、……あ?』

鳴上くんがやってきた。私と目があったと思ったらいきなりそらされた。そして何も言わずに檻へと向かう。ああ…捕まったのね。主人公はゲームオーバー。中で花村くんが騒ぐ。違う意味で騒ぐ。あんたら仲が良すぎでしょう、どうして負け組は負け組で騒げるのか理解しがたい。はやく時間がすぎないかなぁ。私の頭はそれでいっぱいいっぱいだ。





荒波激しい終幕
(その後、クラスの話し合いで決まった結果がなぜか合コン喫茶)


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