平々凡々な最後の日。

私が教室に入ると今まで騒がしかった教室が静かになった。それを気にせず教卓の前に立つ。先生が私に一度微笑み、そしてチョークを手にした。緑色をした黒板に白い線が形を成していった。

『名無しの名無しです』

名前、それから簡潔に自己紹介をする。とはいえ、どこから来たのか程度しか説明はしていない。だって私、半端なく緊張してる。

『よろしくお願いします』

ああ、緊張した。ちゃんとうまく自己紹介することができただろうか。名前は間違えていっていないだろうか。出身中学を言ったらざわつかれたけどやっぱり皆あまり好ましく思ってないんだろうか。帝国学園は。

「じゃあ名無しのは染岡の隣に行ってもらうことになるけど」

そめおか。と呼ばれた人物は先生に名を呼ばれ渋々と立ち上がった。見れば見るほど恐い人。ピンクの頭に泣きぼくろ。目付きが悪いのは威嚇をするためなのか素なのだろうか。

『はい』

いい?と先生の言葉に思ってもない言葉を返答。自分の気持ちを素直に返すことのできないって癖はなおそう。いつになるか分からないけど。

「染岡竜吾」

『あ、わたしは名無しの名無し』

自分の席は染岡の左隣。窓側の席という個人的にラッキーとも思える場所だった。授業中に空を眺めることのできる幸福とはまさにこのこと。

『よろしく』

「……っ、ああ」

染岡は見た目ほど悪い人では無さそうでとりあえずは安心。見た目怖くて中身も怖かったらどうしようかと思った。まあ、大概の【コワイ】は我慢できる。そう、いじめとか脅迫とか脅しとか。そう言ったものなら意外となんとかなるものだ。

『わたし、染岡と仲良くなる』

そう言えば染岡は首を傾げた。よく考えてみれば中学生が頭をピンクに染めているなんていじめうんたらを過去に受けてしまったとしか考えられない。確か一年の二学期頃だったかな、辺見が言っていた。「俺が髪を染めてる理由?みんながデコデコ俺をいじめてくるからに決まってるだろ」って言っていた。まあ、染めてからもいじめられていたから意味が無いっていう行為なんだろうけど。


『髪を染めても何も変わらないよ?』

「これは地毛だ!」


あ、この人は辺見とおんなじ何かがあるようだ。

『染岡、禿げないでね』

「さっきからなんなんだテメエは」

2012.7/14


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