一目惚れ。

眠たい。けど眠りたくないと思うときはありませんか?確かそいつはそんなことを誰かに問いかけていた。確かに一分一秒でも長く起きていたら得な気分が得られる。結局はそんな気分だけであって体調は快調といいがたいものになるわけなのだが。

最近気になる女子生徒がいる。その女子を一言で例えるなら[どこにでも居そうな普通の子]だ。だけど多分、これを一目惚れだと人は言うのだろう。

はじめて彼女をちゃんと一人の女の子として見たのは6月のとある日。あの日の一時間目は数学から始まったのだがチャイムがなる二分前、その人は髪の毛は風に煽られるがままに真っ赤な顔して登校したのは今でも忘れることはない。

そのときの「私、遅刻してませんよね!」と言った彼女の必死さに俺は惹かれた。当時隣の席だった佐久間が遅刻した(本人はしそうになったと言い張っているが)理由を問いただしていた。登校中、体育で使うジャージを忘れてしまい取りに帰ったようだ。そんな理由で必死になるだなんて可愛いじゃないか。最近の女子はおしゃれにこだわりすぎていて忘れ物をしても先生から借りればいいやと甘んじるやつらが多いから名無しのみたいな奴は久しぶりに見た。


佐久間がよく話しかけてくる毎日。
だが最近彼女から視線が送られてくるような気がしてならない。もしかしたら…と思うが自意識過剰なだけかもしれないから諦めよう。パッと視線を佐久間から名無しのに移せば咄嗟に視線を反らされる。俺だって少しは傷つくさ。と言ってやりたいこの気持ちは佐久間にあててやろう。お前も源田も彼女の近くの席なのに何にもわかってないな。この気持ちは絶対に言わない。これを言ってライバルが増えたら勝目が見えなくなるかもしれないのだから。

「聞いてます、鬼道さん?」

「ああ、聞いている」

いつか話をしよう。
一年の夏、彼女に向けての決意表明。この先の未来、彼女に愚かな虫がついてしまう前に俺がいただいておかなくてはならない。まずはこういうことを誰に相談するかが決め手になるわけなのだが……。

佐久間の話を適当に相づちし、彼女を再び見る。あ、目があった…と思ったら思いきり反らされた。俺、嫌われているのか?





恋愛なんてするとは思わなかった。
(で、なんで俺なんです?)(クラスメートの中で一番安全圏なのは辺見だと思ったからな。迷惑ならすまない)(い、いやっ、迷惑じゃないんですけど!う、うー…ん、アドバイスできるようなことあるかなぁ…)

2012.7/21


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